クイズ:次のうち、Alzheimer型認知症を最も早期に診断できるのはどれか? [アルツハイマー病]
次のうち、Alzheimer型認知症を最も早期に診断できるのはどれか。 【株式会社テコム作成医師国家試験模擬試験問題より出題】
https://www.m3.com/quiz/doctor/pc/?id=mnc&portalId=mailmag&mmp=EB180213&mc.l=275078772
A 脳波
B 頭部CT
C 頭部MRI
D MRS〈MRスペクトロスコピー〉
E シングルフォトンエミッションCT〈SPECT〉
正解:
E シングルフォトンエミッションCT〈SPECT〉
解説:
【アプローチ】
Alzheimer型認知症の早期診断は頭頂葉、側頭葉の代謝が低下することでなされる。
【選択的考察】
A(×):非常に進行して徐波が出現するようにならないと診断できない。
B(×)、C(×):CTやMRIのような形態画像では、よほど進行してからでないと所見が得られない。
D(×):MRSは精度が低く、早期診断には適しない。
E(○):SPECTやPETのような機能画像では早期から所見が得られる。
【essential point】
CT、MRIのような形態画像で海馬の萎縮など典型的な所見が得られるのは、Alzheimer型認知症としては非常に進行した段階である。それ以前に臨床的に、あるいは機能画像で診断がついていることが普通である。
私の感想:
医師の正解率57%か・・。
脳萎縮の%に関しては、最近のデータを見かけませんので少々古いデータにはなりますが、以下に10年程前のデータをご紹介しますね。
2008年4月5日開催のアルツハイマー病研究会にて、松田博史先生が講演の中で以下のようなデータを紹介されました。
MRIにて萎縮を認める%【私の講演用スライド360】
軽度アルツハイマー病 : 25%
中等度アルツハイマー病: 40%
さて、正解はの「シングルフォトンエミッションCT〈SPECT〉」ですが、問題はその「感度&特異度」ですよね。
朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」第411回『脳をみる検査―軽度認知障害はアルツハイマー病に進展するか?』(2014年2月20日公開)
これまでに何度も繰り返して説明しておりますように、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment;MCI)はアルツハイマー病(AD)の前段階として注目されている概念です。
そこで、MCIの患者さんを3年間追跡調査し、ADに進展したケースと進展しなかったケースを詳細に調べ、最初に実施したSPECT検査所見よりADへの進展が予測できるかどうかを調べる研究(J-COSMIC)が2003年より開始され、2010年3月に最終報告が発表されました。
J-COSMIC最終報告書(著者:長寿科学振興財団J-COSMIC、出版:J-COSMIC)のP25には以下のような記述があります。
「ADの予測診断能を算出したところ、感度76%、特異度39%、陽性的中率52%、陰性的中率65%であった。この結果は臨床的な認知症患者にSPECT検査を行えば80%近い確率でADが診断されるとともに、AD様所見を呈するSPECT像が認められてもADではない症例が60%以上存在することが示された。」
P.S.
J-COSMIC研究においては、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment;MCI)からアルツハイマー病(AD)への進展は、3年間で45.8%でした。
特異度が39%と予想外に低く、「偽陽性」が多かったことに関しては、本研究の追跡期間が3年間であったことが一因ではないかと指摘されています。すなわち、4年目以降にコンバートするケースが相当数あるため、特異度が低値になったのではないかと推察されております。いずれにせよ、SPECT検査においては「偽陽性」が多々あることは事実ですので、MCI患者さんにおいてADに特徴的な脳血流低下が確認されたとしても、それだけで安易に「将来アルツハイマー病を発症する確率が高いです」と告知することは慎まなければなりませんね。
https://www.m3.com/quiz/doctor/pc/?id=mnc&portalId=mailmag&mmp=EB180213&mc.l=275078772
A 脳波
B 頭部CT
C 頭部MRI
D MRS〈MRスペクトロスコピー〉
E シングルフォトンエミッションCT〈SPECT〉
正解:
E シングルフォトンエミッションCT〈SPECT〉
解説:
【アプローチ】
Alzheimer型認知症の早期診断は頭頂葉、側頭葉の代謝が低下することでなされる。
【選択的考察】
A(×):非常に進行して徐波が出現するようにならないと診断できない。
B(×)、C(×):CTやMRIのような形態画像では、よほど進行してからでないと所見が得られない。
D(×):MRSは精度が低く、早期診断には適しない。
E(○):SPECTやPETのような機能画像では早期から所見が得られる。
【essential point】
CT、MRIのような形態画像で海馬の萎縮など典型的な所見が得られるのは、Alzheimer型認知症としては非常に進行した段階である。それ以前に臨床的に、あるいは機能画像で診断がついていることが普通である。
私の感想:
医師の正解率57%か・・。
脳萎縮の%に関しては、最近のデータを見かけませんので少々古いデータにはなりますが、以下に10年程前のデータをご紹介しますね。
2008年4月5日開催のアルツハイマー病研究会にて、松田博史先生が講演の中で以下のようなデータを紹介されました。
MRIにて萎縮を認める%【私の講演用スライド360】
軽度アルツハイマー病 : 25%
中等度アルツハイマー病: 40%
さて、正解はの「シングルフォトンエミッションCT〈SPECT〉」ですが、問題はその「感度&特異度」ですよね。
朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」第411回『脳をみる検査―軽度認知障害はアルツハイマー病に進展するか?』(2014年2月20日公開)
これまでに何度も繰り返して説明しておりますように、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment;MCI)はアルツハイマー病(AD)の前段階として注目されている概念です。
そこで、MCIの患者さんを3年間追跡調査し、ADに進展したケースと進展しなかったケースを詳細に調べ、最初に実施したSPECT検査所見よりADへの進展が予測できるかどうかを調べる研究(J-COSMIC)が2003年より開始され、2010年3月に最終報告が発表されました。
J-COSMIC最終報告書(著者:長寿科学振興財団J-COSMIC、出版:J-COSMIC)のP25には以下のような記述があります。
「ADの予測診断能を算出したところ、感度76%、特異度39%、陽性的中率52%、陰性的中率65%であった。この結果は臨床的な認知症患者にSPECT検査を行えば80%近い確率でADが診断されるとともに、AD様所見を呈するSPECT像が認められてもADではない症例が60%以上存在することが示された。」
P.S.
J-COSMIC研究においては、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment;MCI)からアルツハイマー病(AD)への進展は、3年間で45.8%でした。
特異度が39%と予想外に低く、「偽陽性」が多かったことに関しては、本研究の追跡期間が3年間であったことが一因ではないかと指摘されています。すなわち、4年目以降にコンバートするケースが相当数あるため、特異度が低値になったのではないかと推察されております。いずれにせよ、SPECT検査においては「偽陽性」が多々あることは事実ですので、MCI患者さんにおいてADに特徴的な脳血流低下が確認されたとしても、それだけで安易に「将来アルツハイマー病を発症する確率が高いです」と告知することは慎まなければなりませんね。
2018-02-13 14:54
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