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早期診断・告知後のパンフレット『認知症の早期発見を希望に繋げるために』 Ver.30 [「早期発見 → 告知」が早期絶望とならないように]

早期診断・告知後のパンフレット『認知症の早期発見を希望に繋げるために』 Ver.30(2018.2.23作成)を公開しました。
 Ver.30.JPG

 https://drive.google.com/file/d/1b_nqeejzElB08U0F-sU4CfDOf7pZRLDa/view?ts=5a8f5be1
 
 以下の情報を追記致しました。

P4:
 ※認知症への見方を変えよう!2018年湘南オレンジカフェ(Shonan サミット)イベントレポート―認知症の予後はよくなっている
 https://www.facebook.com/atsushi.kasama.9/posts/919019421601071
 私が認知症の患者さんやご家族にいつも伝えていることは、認知症の進行スピードや予後は従来に比べてよくなってきているということです。90年代に行われた研究では、抗認知症薬を服用していなくても90年代前半と90年代後半を比較すると、後半のほうが認知症の進行スピードが前半の約半分であるという研究結果もあります。
 これは私たちの認知症に対する意識が変わってきたからだと考えます。認知症の改善のために、ストレスをかけない、できることを奪わないなどのさまざまな工夫をしてきたからなのです。
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クイズ:次のうち、Alzheimer型認知症を最も早期に診断できるのはどれか? [アルツハイマー病]

次のうち、Alzheimer型認知症を最も早期に診断できるのはどれか。 【株式会社テコム作成医師国家試験模擬試験問題より出題】
 https://www.m3.com/quiz/doctor/pc/?id=mnc&portalId=mailmag&mmp=EB180213&mc.l=275078772
早期診断.JPG

 脳波
 頭部CT
 頭部MRI
 MRS〈MRスペクトロスコピー〉
 シングルフォトンエミッションCT〈SPECT〉


正解
  E シングルフォトンエミッションCT〈SPECT〉

解説
【アプローチ】
 Alzheimer型認知症の早期診断は頭頂葉、側頭葉の代謝が低下することでなされる。

【選択的考察】
A(×):非常に進行して徐波が出現するようにならないと診断できない。
B(×)、C(×):CTやMRIのような形態画像では、よほど進行してからでないと所見が得られない。
D(×):MRSは精度が低く、早期診断には適しない。
E(○):SPECTやPETのような機能画像では早期から所見が得られる。

【essential point】
 CT、MRIのような形態画像で海馬の萎縮など典型的な所見が得られるのは、Alzheimer型認知症としては非常に進行した段階である。それ以前に臨床的に、あるいは機能画像で診断がついていることが普通である。


私の感想
 医師の正解率57%か・・。
 脳萎縮の%に関しては、最近のデータを見かけませんので少々古いデータにはなりますが、以下に10年程前のデータをご紹介しますね。
 2008年4月5日開催のアルツハイマー病研究会にて、松田博史先生が講演の中で以下のようなデータを紹介されました。
 講演用スライド360─脳萎縮の%.JPG
MRIにて萎縮を認める%【私の講演用スライド360】
 軽度アルツハイマー病 : 25%
 中等度アルツハイマー病: 40%


 さて、正解はの「シングルフォトンエミッションCT〈SPECT〉」ですが、問題はその「感度&特異度」ですよね。

朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」第411回『脳をみる検査―軽度認知障害はアルツハイマー病に進展するか?』(2014年2月20日公開)
 ひょっとして認知症.JPG
 これまでに何度も繰り返して説明しておりますように、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment;MCI)はアルツハイマー病(AD)の前段階として注目されている概念です。
 そこで、MCIの患者さんを3年間追跡調査し、ADに進展したケースと進展しなかったケースを詳細に調べ、最初に実施したSPECT検査所見よりADへの進展が予測できるかどうかを調べる研究(J-COSMIC)が2003年より開始され、2010年3月に最終報告が発表されました。
 J-COSMIC最終報告書(著者:長寿科学振興財団J-COSMIC、出版:J-COSMIC)のP25には以下のような記述があります。
 J-COSMIC.jpg
 「ADの予測診断能を算出したところ、感度76%、特異度39%、陽性的中率52%、陰性的中率65%であった。この結果は臨床的な認知症患者にSPECT検査を行えば80%近い確率でADが診断されるとともに、AD様所見を呈するSPECT像が認められてもADではない症例が60%以上存在することが示された。」

P.S.
 J-COSMIC研究においては、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment;MCI)からアルツハイマー病(AD)への進展は、3年間で45.8%でした。
 特異度が39%と予想外に低く、「偽陽性」が多かったことに関しては、本研究の追跡期間が3年間であったことが一因ではないかと指摘されています。すなわち、4年目以降にコンバートするケースが相当数あるため、特異度が低値になったのではないかと推察されております。いずれにせよ、SPECT検査においては「偽陽性」が多々あることは事実ですので、MCI患者さんにおいてADに特徴的な脳血流低下が確認されたとしても、それだけで安易に「将来アルツハイマー病を発症する確率が高いです」と告知することは慎まなければなりませんね。
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早期診断・告知後のパンフレット『認知症の早期発見を希望に繋げるために』 Ver.29(2018.2.10作成) [認知症の早期発見を希望に繋げるために]

 早期診断・告知後のパンフレット『認知症の早期発見を希望に繋げるために』 Ver.29(2018.2.10作成)をアップ致しました。

 https://drive.google.com/file/d/1mDKkzKpwdnUkfR-TMEsYSiQLfv1TInaW/view?ts=5a7e4f91

キャプチャ.JPG
改訂部分(追加部分):
 https://www.facebook.com/atsushi.kasama.9/posts/911618535674493
第111回 レビー小体型認知症診療を再考する(3)―レビー型認知症への薬物療法をどう進めるか【2018/2/9日経メディカル 川畑信也(八千代病院神経内科部長)】

臨床診断基準第4版における薬物療法
 メタ解析の結果からは、リバスチグミンとドネペジルの使用は認知機能や全般性機能、日常生活動作を改善し、さらに改善が見られなくても、服薬している限り、悪化することは少ないとされています。メマンチンのレビー小体型認知症に対する効果は明らかではないようですが、忍容性は担保され、単独あるいは併用療法で効果を期待できるかもしれないと記載されています。ガランタミンに関してはこの診断基準では全く言及されていません。
 
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