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ストレス→腰痛の機序 大うつ病 側坐核 [腰痛]

ストレス→腰痛の機序

 数年前の放送になりますが2011年11月16日に放送されました「ためしてガッテン」(http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20111116.html)におきまして、側坐核が痛みの制御にも関わっていることが図解を用いて分かりやすく説明されました。
85%.JPG
 腰痛などの痛み刺激が脳に伝わると、側坐核が反応して鎮痛物質であるオピオイドが作動し始めます。それによって痛みが抑えられるわけです。
 ところが慢性的なストレスにさらされていると、側坐核が機能低下に陥り、オピオイドが作動せず、痛みの制御機能が低下してしまうわけです。
 慢性腰痛患者の多くに、脳活動低下があることが分かったのは、イリノイ州のノースウェスタン大学における研究成果です。
 紺野愼一教授は、「85%の原因不明の要因として、3分の1程度はストレスが関与していると考えられる」と述べました。
 そして番組においては、ご主人からのプレゼントである「愛犬」がストレス解消に大きな役割を担い、慢性腰痛が驚くほど軽快した事例があったことも紹介されました。

※側坐核:
 「側坐核は前頭前皮質、扁桃体、海馬、中脳腹側被蓋野(ventral tegmental area;VTA)のドパミン細胞などから入力を受け、淡蒼球や視床を介して、前頭前皮質にフィードバックすると同時に、本能行動や自律神経の中枢である視床下部や脳幹へと出力する。この解剖学的特性は、側坐核が、前脳の各領域で処理、抽出された外界刺激の情報を統合し、本能行動や自律神経応答に反映させる情動発現過程の中枢に位置することを示唆する。」(古屋敷智之、出口雄一:うつ病における線状体機能変容の役割. BRAIN and NERVE Vol.64 919-926 2012)


 以前にもお話しましたが、私はかつて、腰痛から「うつ」になった経験もしており、そのことを中日新聞の折り込み紙である「三重タイムズ」にてカミングアウトしたこともありました。
20020614MT腰痛とうつ病.jpg 
 まあ、ひどい腰痛で日常生活にも影響が出てしまったら、うつ状態に陥るのも当然と言えば当然ですよね。
 この記事のタイトルは「腰痛とうつ病の経験を通じて」となっておりますが、今にして思えば「腰痛と抑うつ神経症の経験を通じて」だったのだと思います。
 昨年、「大うつ病」を経験しましたので、かつての気分変調は「抑うつ神経症」だったんだなぁと両者の違いを実感しております。
 http://iyashi.find21.net/utsu/u33shindan.html
大うつ病.JPG

 腰椎椎間板ヘルニアが引き金となって「抑うつ神経症」を発症してしまったわけなのですが、腰椎椎間板ヘルニアは時に幸運ももたらしてくれます。
 今年1月に発症した腰痛椎間板ヘルニアは、大うつ病後の睡眠障害(入眠障害)から私を解放してくれたのでしたね。
 腰痛椎間板ヘルニア→強い痛みのため中途覚醒→大うつ病の入眠障害と重なり極度の睡眠不足に→信号待ちをしていても眠ってしまう始末→あまりの眠たさに入眠障害は自然消滅→睡眠薬の呪縛から解放される!
 もし1月に手術し固定術も受けておりましたら、未だにテニスを再開できておらず、睡眠薬からも解放されていなかったのではないかとさえ思っています。「強い痛みに負けずよく頑張った」と自分を褒めてあげたいです。
 人生、何が幸いするか分かりませんね。

メモ:
 不眠症状と過眠症状(強い眠気)は最もポピュラーな睡眠症状である。日本人を対象にした不眠および過眠症状に関する大規模疫学調査の結果を図5に示した。入眠障害,中途覚醒,早朝覚醒の3つの不眠症状の有症状率は15~25%だが,年齢層によって出現率は大きく異なる。入眠障害はすべての年齢層でも20%弱の成人に見られる。一方で,中高年齢層では中途覚醒や早朝覚醒など睡眠を持続する力の低下による不眠症状が顕著に増加する。いずれかの不眠症状を有する者は成人の約20%であるが,その中には不眠症,その他の睡眠障害,加齢による生理的変化などが含まれる。「高齢」,「健康感の欠如」,「精神的ストレス」,「ストレスヘの対処不良」,「運動習慣がない」,「雇用されていない」などの要因を持つ人々で不眠が多い。不眠症(不眠症状+日中の機能障害)の罹患率は6~8%とされる。
 【編集/三島和夫:睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン じほう, 東京, 2014, p19】

腰椎椎間板ヘルニアはどれくらいの割合で, どのくらいの期間で退縮するのか [腰痛]

椎間板ヘルニアになった時には有益な情報ですよ!

腰椎椎間板ヘルニアはどれくらいの割合で自然に退縮するのか
 保存的治療を行った椎間板ヘルニアによる片側の下肢痛を示した77(男48,女29)例,平均年齢41(18~86)歳を対象にした報告がある(EV level 6).
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 ヘルニアを3つのタイプに分類しているが(MRI T1矢状断にて,Type1:disc後方のlow signal areaが連続している,Type2:disc後方のlow signal areaが途絶している,Type3:Type2かつヘルニア塊がdisc levelを越えている),自然退縮の割合はType1:0/14(0%),Type2:7/27(26%),Type3:28/36(77.8%),計35/77(45.5%)であり,ヘルニアの退縮はmigrationしているType3のものに最も多く認められたとした.
 平均4.3カ月の罹病期間を有する坐骨神経痛患者165(男114,女51)例を対象にした報告では,脱出型ヘルニアと評価された84例中64例(76%)にヘルニアの退縮あるいは完全消失を認め,bulgeと評価された22例中18例(82%)では変化はなく,腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛患者の多くは保存的治療でヘルニアの退縮による症状の改善がみられるとした(EV level 6).
 以上の報告から,脱出型ヘルニアの多くは自然退縮が期待でき,膨隆型では自然退縮する可能性は比較的少ないといえる.しかし,その割合について正確に述べたエビデンスレベルの高い報告はない.

腰椎椎間板ヘルニアはどれくらいの期間で自然退縮するのか
 保存的治療を行った椎間板ヘルニアによる片側の下肢痛を示した77(男48,女29)例,平均年齢41(18~86)歳を対象にした報告がある(EV level 6).このなかで,77例中35例(45%)は初回MRI撮影後に平均195(29~910)日で退縮を認めた.退縮を認めた35例中16例(46%)は3カ月以内に変化を認め,残りの19例は3カ月以上で変化を認めたとしている.
 【編/日本整形外科学会診療ガイドライン委員会, 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン策定委員会 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン(改訂第2版)─CD-ROM付─. 南江堂, 東京, 2011, pp16-17】


術式間に成績の差はあるか
 レーザー椎間板蒸散法の術前後の387例の検討では,MRI画像上4例で隣接椎体の骨壊死がみられ,術前にみられなかった強い腰痛が出現しており,本法による椎間板,椎体への悪影響も明らかにされてきている(EV level 7).またレーザー椎間板蒸散法を実施中に下肢に激痛が走り, 4週後に追加された顕微鏡視下腰椎椎間板ヘルニア摘出術で当該神経根の著明な腫脹と炭化巣が診断されたとの報告もある(EV level 8).さらに,レーザー椎間板蒸散法術後の再手術例10例の検討では,臨床症状の改善がなく,MRI上は全10例でヘルニアの縮小は認めず, 8例で隣接椎体の輝度変化が示されている(EV level 6).このようにレーザー椎間板蒸散法は隣接組織への熱,圧力波の影響などがあること,椎間板摘出範囲が限定しにくいこと,健康保険で適応されず高額な自己負担費用が患者側に必要なこと,有効群率が70%前後であることから,経皮的椎間板摘出術より優れた術式とする根拠はないと考えられる.
 固定術の併用に関しては厳密な群わけをしたRCT論文は認められないが,比較検討した報告によれば,全般的な成績には差がないものの,固定術を併用したほうが腰痛の遺残が有意に少ないとの報告(EV level 5)や成績には差がないものの固定術を併用したほうが復職までの期間が長いとの報告(EV level 5)もあり,固定術の併用に関しては一定の見解が得られていない.
 【編/日本整形外科学会診療ガイドライン委員会, 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン策定委員会 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン(改訂第2版)─CD-ROM付─. 南江堂, 東京, 2011, pp67-69】

私の感想
> 退縮を認めた35例中16例(46%)は3カ月以内に変化を認め,残りの19例は3カ月以上で変化を認めたとしている.

 私なら、何とか歩ける状態でしたら痛みが強くとも2~3か月は手術せずに様子を見ます。今回は完治しましたので、その選択が正解だったようです。

◎「レーザー椎間板蒸散法の術前後の387例の検討では,MRI画像上4例で隣接椎体の骨壊死がみられ,術前にみられなかった強い腰痛が出現しており,本法による椎間板,椎体への悪影響も明らかにされてきている」という記述、強烈なメッセージですよね。しかもガイドラインに記載されているわけですから!
 強い腰痛で受診したら、「腰椎椎間板ヘルニア」と診断されて、レーザー手術を勧められたら、患者さんの立場に立っていない!ということが明白という時代になってきているようですよ!

P.S.
 「腰椎椎間板ヘルニアはすべて悪である」と思うな!
 私は、うつ病後に残存しておりました「入眠障害」が腰椎椎間板ヘルニアで治りました。まあ偶然の産物ではあるのですが・・。
 痛みが強烈で夜中に寝返りしたときなどに目が覚めてしまうため、入眠障害(←うつ病による)+中途覚醒(←腰椎椎間板ヘルニアによる)という状態に陥り、あまりの眠気に昼間、国道を走っていて信号待ちの時に熟睡してしまい・・。本当にご迷惑をおかけいたしました。
 ただ、その強烈な眠気は私を「睡眠障害」から解放してくれました。
 まさに災い転じて福となる!でした。

「これだけ体操」 「腰みがき体操」 [腰痛]

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腰痛軽減 体動かして
  【2016年3月1日付朝日新聞・生活】

無理せず 続けて効果
 痛みが3カ月以上続く慢性腰痛は原因がはっきりしないことが多い。日本整形外科学会と日本腰痛学会が2012年にまとめた診療指針では、慢性腰痛には薬物と運動療法を推奨する。ただ、痛み止めの非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)は、消化管の出血や腎臓障害の副作用が出る場合があるので、注意して使いたい。
 腰をひっばる牽引療法は、指針では腰痛全般に対して「有効であるエビデンス(証拠)は不足」とされた。電気神経刺激療法については「有効か無効かは一定の結論に至ってない」とした。
 運動療法は筋肉を強化して腰への負担を減らす。継続することで慢性的な痛みを和らげ、再発予防にも効果がある。
 東京大医学部付属病院22世紀医療センターの松平浩特任准教授(整形外科)は、「安静第一と思い込んでいる人は考えを変えよう」と訴えている。不安から腰を動かさないでいると、むしろ腰痛が治りにくくなってしまうという。
 背骨と背骨に挟まれた椎間板の中央には、ゼリー状の髄核がある。前かがみの状態が続くと、髄核が後ろに移動する。これを松平さんは「借金がある状態」と呼ぶ。「借金」を重ねると、椎間板が傷ついたり、椎間板から髄核が飛び出すヘルニアになったりする可能性がある。そのため、後ろにずれた髄核を定期的に元に戻してやる必要があるという。
 松平さんが提唱するのが、立った状態で、息を吐きながら、腰を3秒間後ろにそらす「これだけ体操」だ。1、2回を1日数回やるのが目安だという。
 一方、白土さん(=白土 修教授:福島県立医科大会津医療センター整形外科)は、ふだんから正しい姿勢に気をつけ、毎日の「腰みがき体操」を勧める。「継続が肝心。痛みが強くならない範囲で、無理なく続けましょう」(瀬川茂子)


P.S.
 「ロキソニン」と「カロナール」の違い、理解しましょうね。
 http://www.fizz-di.jp/archives/1033868268.html
 インフルエンザには「カロナール」ですよ。

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