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高齢者の3分の1がレビー小体病 [レビー小体型認知症]

高齢者の3分の1がレビー小体病
 レビー小体型認知症やパーキンソン病などのレビー小体病を予測することは可能か。東京都健康長寿医療センター神経病理学研究(高齢者ブレインバンク)部長の齊藤祐子氏らは、高齢者を剖検した結果、約3分の1がパーキンソン病やレビー小体型認知症とその予備軍であったと、Acta Neuropathol(2020年11月5日オンライン版)に発表した。
 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33150517/
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死亡時年齢65歳以上の518例を剖検
 レビー小体病は、神経細胞内にαシヌクレインという異常な蛋白質が沈着し凝集体(レビー小体)を形成することで発症する神経変性疾患である。レビー小体は、脳以外にも出現することが知られている。
 レビー小体病では、手足の震えや体のこわばりといった運動症状に加え、消化器症状を含む自律神経障害や睡眠障害など多彩な非運動症状が出現する。非運動症状は運動症状に先行して起こると報告されているが、発症前の末梢神経系におけるレビー小体の出現や、疾患の進行に伴うレビー小体の変化については明らかにされていない。
 そこで齊藤氏らは、高齢者ブレインバンクに登録された連続開頭剖検例を解析。疾患の発症前から生じている末梢神経系のレビー小体関連病理像や疾患の進行に伴う変化について検討した。剖検に用いたのは、2008~18年に死亡した65歳以上の高齢者518例。死因は、呼吸器疾患、がん、心血管疾患が全体の73%を占め、日本人一般人口の死亡統計とほぼ一致していた。

レビー小体出現群では死亡時年齢が高い
 解析の結果、レビー小体の出現が確認されたのは178例(34.4%)。そのうち中枢神経、末梢神経のいずれにも出現していたのは121例、中枢神経のみは48例、末梢神経のみは9例だった。
 レビー小体出現の陽性群では、陰性群に比べて男女とも死亡時の平均年齢が有意に高かった(男性:81.1±9.5歳 vs. 77.9±11.8歳、P<0.04/女性:86.4±8.5歳 vs. 82.3±11.0歳、P<0.004)。

食道での出現が予測因子に
 次に齊藤氏らは、末梢神経系におけるレビー小体の出現状況と病態の特徴との関連を検討した。αシヌクレインの沈着が確認されたのは、交感神経節が125例、心臓が98例、食道が78例、副腎が60例、皮膚が32例だった。
 解析の結果、レビー小体病の進行と最も強い相関を示したのは食道だった(スピアマンの順位相関係数0.95、P<0.05)。以下、交感神経節(同0.85)、心臓(同0.87)、副腎(同0.81)、皮膚(同0.71)が続いた(全てP<0.05)。また、食道に出現した群では、非出現群に比べ生前に便秘などの自律神経症状を訴えていた例が有意に多かった(P<0.0001)。
 同氏らは「レビー小体関連病理像が高齢者の3分の1に認められた。この事実は、レビー小体病の病態解明および治療薬の開発において、神経病理学的基礎になるだろう」と結論。さらに「食道におけるレビー小体の出現が、レビー小体病の予測因子となることが示唆された」と付言している。
 【Medical Tribune(2020年11月13日) 比企野綾子】

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レビー小体型認知症の分類 [レビー小体型認知症]

レビー小体型認知症の臨床病理の基礎
 【若林孝一:レビー小体型認知症の臨床病理の基礎. Dementia Japan Vol.31 280-287 2017】

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 レビー小体型認知症の分類がきちんと理解できないという方が多いですので、『レビー小体型認知症の臨床病理の基礎』(若林孝一:Dementia Japan Vol.31 280-287 2017)の記述と『レビーフォーラム2016』のスライド資料(一部改変)を併せた資料を作成しました。参考になれば幸いです。
 https://drive.google.com/file/d/0B-gBQ1xrZ5fhS1FmVERsc2tpS0k/view?ts=59e5818b
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認知症を巡るほとんどは『人災』 レビー小体型認知症 樋口直美さん ルポ 希望の人びと ここまできた認知症の当事者発信 えにしの会 [レビー小体型認知症]

「医師は、精神科に体験入院して」 当事者が提案
 「認知症を巡るほとんどは『人災』」/本人著作が受賞

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 認知症の当事者の発言はいろいろな場面で注目されてきた。15年の日本医学ジャーナリスト協会賞優秀賞を2人の認知症の本人が受賞した。6、7章で書いた佐藤雅彦さんと、もう1人が樋口直美さんだ(62年生まれ)。
 30代から幻視を見た樋口さんは、13年、50歳でレビー小体型認知症と診断されるまで、41歳でうつ病と誤診されて重い薬物治療の副作用に約6年間苦しんだ、という。その体験と復活を『私の脳で起こったこと レビー小体型認知症からの復活』に綴った。
 樋口さんは医師から「レビー小体型認知症」と告げられ、「進行を遅らせるためにできることは?」と尋ねると「ないんですよ」と言われた。本には「急激に進行し余命8年」。一時は真剣に自殺も考えた。その後、信頼できる医師や同世代の仲間と出会い、適切な治療と努力、数々の出会いのたまもので、進行を食い止められている。だが嗅覚や時間の感覚をほぼ失い、自律神経障害などのつらさも抱えている(発言は樋口さんの公式サイトやディペックス・ジャパンのサイトなどでも見られる)。
 「認知症を巡る問題のほとんどは、人災」だと語る。病気そのものの症状ではなく「人災」。
 …(中略)…
樋口直美さん-えにしの会.jpg
 東京のプレスセンターで開かれた受賞記念のシンポジウムでは、自分でつくったスライドを映し出した。思わず見入った。

最大の問題は医療
・認知症権威による「認知症」の説明が偏見をつくってきた
医師が書く医療情報で、診断された本人と家族が絶望
誤診の多さ 知識のなさ 診断を変えない 減薬しない
診断後の精神的・社会的サポートのなさ
・薬の副作用による悪化(薬剤性せん妄)
・精神科病院への入院は、誰のために必要なのか?

 どれも厳しい。樋口さんの身も心もえぐられるような体験から生まれた言葉だ。医療への願いであり、私たちへの問いかけでもある。なかでも、「入院は、誰のために必要なのか?」の問いは、まったく同感だ。そして、「医療情報で、診断された本人と家族が絶望」は、情報を伝える身として胸に突き刺さる。
 【生井久美子:ルポ・希望の人びと. 朝日新聞出版, 東京, 2017, pp223-226】

私の感想
 このスライドに書かれた文章を読んで、「そうじゃない」と反論したいと考える医師も多いかも知れませんね。
 私なりにこの部分について思いを述べてみたいと思います。

認知症権威による「認知症」の説明が偏見をつくってきた

 病気に関して調べる際には、何度も言ってきましたようにメルクマニュアルがとっても有益です。
 http://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム
 ではそのメルクマニュアルには「アルツハイマー病の進行」についてどう記述されているのでしょうか。
 http://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/09-脳、脊髄、神経の病気/せん妄と認知症/認知症
 アルツハイマー病の予後.JPG
 =「アルツハイマー病の症状は、他の認知症の症状と同様です( 認知症 : 症状を参照)。具体的には、記憶の喪失、人格の変化、言語の使用や日常的な作業の障害、見当識障害、破壊的な行動などが挙げられます。症状は徐々に進行するため、多くの患者は、しばらくの間、発症前に楽しんでいたことの大半を変わらず楽しめます。
 …(中略)…
 最終的には、歩行や身の周りのことも一人ではできなくなります。失禁するようになったり、飲み込む、食べる、しゃべるなどの行為ができなくなったりします。こうした変化により、低栄養、肺炎および床ずれのリスクが高くなります。記憶は完全に失われます。最後には、(多くの場合、感染症により)昏睡と死に至ります。
 進行の予測は不可能です。診断後の平均的な生存期間は7年間ですが、アルツハイマー病があり、歩けなくなくなると、ほとんどの場合は6カ月以内に死に至ります。しかし、生存期間には大きな個人差があります。」

 「歩けなくなくなると、ほとんどの場合は6カ月以内に死に至ります」と記載してありますが、経腸栄養を実施すれば私が紹介しているアルツハイマー病の事例(https://www.facebook.com/atsushi.kasama.9/posts/587799344723082)のようにもうすぐ7年を迎えるという事例もありますからね。

医師が書く医療情報で、診断された本人と家族が絶望

 これは、主としてレビー小体型認知症の進行に関する指摘なんでしょうね。
 先程のメルクマニュアルには、レビー小体型認知症の予後についてどう記載されているのか見てみましょう。
 http://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/09-脳、脊髄、神経の病気/せん妄と認知症/認知症#v737838_ja
 レビー小体型認知症の予後.JPG
 =「症状が現れてからの平均的な生存期間は約6~12年間です。
 …(中略)…
 治療では、すべての認知症の場合と同様に、安全と支援を提供するための一般的な対策が講じられます(認知症 : 治療を参照)。レビー小体型認知症に対する具体的な治療法はありませんが、アルツハイマー病の治療薬(特にリバスチグミン)が有用な場合があります。パーキンソン病の治療薬は、パーキンソン病の症状を軽減しますが、錯乱、幻覚、妄想などを悪化させることがあります。抗精神病薬はできるだけ使用しません。」

 進行しない事例があることには触れられておりませんね。
 「DLBを含むレビー小体病の初発病変の局在や、その後の進行形式・速度には大きなバリエーションがあり、さらに症状が出現した後、進行していく場合ばかりでなく、進行していかない場合もあります。現在われわれの知っているDLBは氷山の一角であり、自然経過のバリエーションがわかってくるのはもう少し先ではないかと思っています。」(山田正仁 他:座談会─認知症の早期発見・薬物治療・生活上の障害への対策. Geriatric Medicine Vol.50 977-985 2012)

誤診の多さ 知識のなさ 診断を変えない 減薬しない

 私自身も、レビー小体型認知症(DLB)なのにアルツハイマー病(AD)と誤診していた事例(https://www.facebook.com/atsushi.kasama.9/posts/719022474934101)をごく最近ご紹介しましたね。
 医師のプライドが、診断名を変えないことの主因なんでしょうね。
 樋口直美さんのレビー小体型認知症に関する知識、認知症専門医とほぼ同じレベルだと思っています。患者さんって、徹底して自分自身の病気のことを調べますのでそのレベルまで到達される方は居るんですよね。
 そのためには、確かな医学情報を流しているサイトなどからの知識の吸収が手っ取り早いと思います。私も少しでもそうしたことで寄与できればと考えております。

 減薬の問題は、アリセプトによるパーキンソニズムなどで何度かご紹介してきましたね。
 「DLBのパーキンソン症状に対する治療とケア」
 https://www.facebook.com/atsushi.kasama.9/posts/665994963570186
 =Hoehn &Yahr 重症度0~Ⅱ度におけるドネペジル3mgでのパーキンソン症状発現率:3/23=13.0%(プラセボ群では、0/43=0%)

診断後の精神的・社会的サポートのなさ

 徐々にサポートを拡げていくことが大切ですね。
 以下のサイト、素晴らしい内容が記載してありますのでご一読くださいね。
 「当事者・家族と医療・ケアを提供する側の双方がDLB当事者を支援するネットワークが大分で発足」
 https://www.facebook.com/atsushi.kasama.9/posts/654368751399474

 私も「『早期発見 → 告知が早期絶望とならないように!』 Ver.3(2017.2.12)」を更にバージョンアップしていきたいと考えております。
 https://drive.google.com/file/d/0B-gBQ1xrZ5fhSXhrVERqSjBWUnM/view
 https://www.facebook.com/atsushi.kasama.9/posts/719886698181012 

薬の副作用による悪化(薬剤性せん妄)

 レビー小体型認知症(DLB)の診断基準の示唆的特徴の一つとして抗精神病薬に対する薬剤過敏性があげられておりますね。何と、53.3%
 抗精神病薬以外にも、「抗コリン薬および抗コリン作用を有する薬剤に対してもたいへん過敏であり、それらの投与は避けるべき」(森 悦郎:レビー小体型認知症の臨床―レビー小体型認知症の薬物療法. 精神科 Vol.29 32-37 2016)と指摘されております。
 具体例を挙げれば、DLBの53.3%においてAP(Antipsychotics:抗精神病薬)に対する薬剤過敏(https://www.facebook.com/atsushi.kasama.9/posts/666955796807436)があるのでしたね。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15889951
RESULTS:
 Severe NSR(Severe neuroleptic sensitivity reaction) only occurred in patients with Lewy body disease: DLB (8 [53%]), PDD (14 [39%]), and PD (7 [27%]), but did not occur in Alzheimer's disease (p=0.006).
 =8/15:があるとは!!

 ただ皆さん、信じられないかも知れませんが、たかが風邪薬でもせん妄が起きることはあるんですよ。私もPL配合顆粒Ⓡ(総合感冒薬)でせん妄に至ったDLBの事例を複数経験しております。
 その理由は、PL配合顆粒には抗ヒスタミン薬が配合されているため、緑内障、前立腺肥大などに禁忌となっているのですが、成分の一つであるプロメタジンメチレンジサリチル酸塩は抗コリン作用も有しているからなんです。

精神科病院への入院は、誰のために必要なのか?

 2013年1月29日に東京都内で開催された「認知症国家戦略に関する国際政策シンポジウム」(主催:東京都医学総合研究所)においては、精神科病院への入院に関する報告もなされましたね。
 以下にその記事をご紹介します。
 「先日東京で開かれた認知症政策に関する国際会議でも、『向精神薬(メモ2参照)を減らす』(イギリス)、『精神科への転科・転院は1%と少ない』(フランス)、『認知症の人の入院はない』(オランダ)、『行動心理症状を持つ人の精神科による治療はほとんど外来での治療』(デンマーク)、『精神科病院への入院を防ぐ』(オーストラリア)という報告が相次いだ。」(2013年3月15日付朝日新聞・オピニオン─中村秀一の現場から考える社会保障)

 『精神科病院への入院を防ぐ』という取り組みは、福井県では実践されておりましたね。
 石川県立高松病院副院長の北村立医師が書かれた論文(一部改変)を以下にご紹介します。
 「在宅や介護老人施設などで対応困難なBPSDが発生した場合、可及的速やかに対応でき、かつ人権擁護の観点から法律的な裏づけがあるのは精神科病院しかないと思われる。したがってBPSDの救急対応も精神科病院の大きな役割として強調されるべきである。
 石川県立高松病院ではBPSDに対する救急・急性期治療の重要性を認識し、早くからそれを実践してきている。具体的には認知症医療においても365日24時間の入院体制を合言葉に、『必要なときに即入院できる』体制を作り上げてきた。
 さて、今後爆発的な増加が予想される認知症の人をできるかぎり地域でみていくためには、BPSDの24時間の対応体制の整備が必要なのは明らかであるが、わが国にはそのような報告は筆者らの知る限りない。
 当院のような365日24時間受け入れ可能な精神科専門医療機関が地域にあれば、多少重症のケースであっても、介護老人施設でぎりぎりまで対応できる可能性が示されている。施設が困ったときにただちに対応すれば信頼が得られ、状態が安定すれば短期間で元の施設に受け入れてもらうことが可能となり、専門病院と介護老人施設の連携がスムーズとなる。
 成人の精神科医療と同様、高齢者に認められる急性一過性の激しい精神症状は、適切に対応すれば容易に消退するものであり、これこそが精神科における認知症急性期医療の重要性を示すものである。また、筆者らの臨床経験からいえば、家族の心配や介護負担感を増やさないようにするには、初診時から365日24時間いつでも受け入れることをあらかじめ保証することが重要である。家族が困ったときにすぐ対応すれば、介護者は余裕をもって介護に当たることが可能であり、近年問題となっている介護者のメンタルヘルスを保つうえでもきわめて有益と考える。」(北村 立 他:石川県立高松病院における認知症高齢者の時間外入院について. 老年精神医学雑誌 Vol.23 1246-1251 2012)

 2013年6月15日に放送されましたNHK・Eテレ/チョイスでは、「もし認知症とわかったら」(http://www.nhk.or.jp/kenko/choice/archives/2013/06/0615.html)に関連するチョイスがいくつか示されました。
 私が一番印象に残ったのが、若狭町福祉課地域包括支援センターの髙島久美子さんらが取り組んでいる試みです。
 髙島さんは、若狭町に住む65歳以上の人を年1回訪ねており、戸別訪問により認知症の早期発見に努めております。さらに、家族だけではなくご近所の方に対しても認知症ケアについてアドバイスし、認知症の行動・心理症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia;BPSD)を未然に防止することに精力的に取り組まれておりました。
 若狭町では、これらの取り組みによって、認知症患者の入院数(平成24年人口比)が福井県の周辺自治体の約5分の1であったという成果をあげているそうです(嶺南認知症疾患医療センター調べ)。
 町ぐるみで認知症対策に取り組むことにより、BPSDを未然に防止し精神科病院への入院を減らした具体的な事例と言えます。

P.S.
 上野秀樹医師の記事もご参考に。
 「精神科病院を考える・下─根強い 入院中心の文化」
 https://www.facebook.com/atsushi.kasama.9/posts/718834371619578

DLB:アリセプトの投与が錐体外路症状の出現率を高めるか? [レビー小体型認知症]

【森 悦朗, Ikeda M, Nakagawa M, Miyagishi H, Yamaguchi H, Kosaka K: Effects of ドネペジル on Extrapyramidal Symptoms in Patients with Dementia with Lewy Bodies - A Secondary Pooled Analysis of Two Randomized-Controlled and Two Open-Label Long-Term Extension Studies. Dement Geriatr Cogn Disord, 40 (3-4), 186-198 (2015)】

Abstract
 Background/Aims: The aim of this study was to clarify the effects of donepezil on extrapyramidal symptoms in patients with dementia with Lewy bodies (DLB). Methods: Using pooled datasets from phase 2 and 3, 12-week randomized, placebo-controlled trials (RCT, n = 281) and 52-week open-label long-term extension trials (OLE, n = 241) of donepezil in DLB, the effects of donepezil on the incidence of extrapyramidal adverse events (AEs) and on the Unified Parkinson's Disease Rating Scale (UPDRS) part III were assessed, and potential baseline factors affecting the AEs were explored. Results: The RCT analysis did not show significant differences between the placebo and active (3, 5, and 10 mg donepezil) groups in extrapyramidal AE incidence (3.8 and 6.5%, p = 0.569) and change in the UPDRS (mean ± SD: -0.2 ± 4.3 and -0.6 ± 6.5, p = 0.562). In the OLE analysis (5 and 10 mg donepezil), the incidence did not increase chronologically; all AEs leading to a dose reduction or discontinuation except one were relieved. The UPDRS was unchanged for 52 weeks. An exploratory multivariate logistic regression analysis of the RCTs revealed that donepezil treatment was not a significant factor affecting the AEs. Baseline severity of parkinsonism was a predisposing factor for worsening of parkinsonism without significant interactions between donepezil and baseline severity. Conclusion: DLB can safely be treated with donepezil without relevant worsening of extrapyramidal symptoms, but treatment requires careful attention to symptom progression when administered to patients with relatively severe parkinsonism.

Introduction
 Dementia with Lewy bodies (DLB) is the second most common form of senile dementia following Alzheimer's disease (AD) [1]. The core clinical features of DLB include neuropsychiatric symptoms and parkinsonism as well as cognitive impairment characterized by deficits in attention, executive function, and visual perception [2]. The cholinergic loss and a choline acetyltransferase activity deficit with preserved postsynaptic cortical muscarinic and nicotinic receptors [3,4,5] rationalizes the use of cholinesterase inhibitors (ChEIs) in DLB. The favorable potential of ChEls such as galantamine, rivastigmine, and donepezil has been demonstrated in previous studies [6,7,8,9,10,11]. The phase 2 and 3 trials of donepezil in patients with DLB have added to the accumulating evidence of the efficacy and safety of donepezil in terms of cognitive, behavioral, and global function in DLB, even for long durations, without increasing the risk of clinically significant safety events [12,13,14,15].
 It has been reported that 25-50% of patients with DLB have parkinsonism at the time of diagnosis and that 75-80% of such patients eventually develop it [16], although the exact proportion is still controversial. In a natural course, the symptoms could worsen with a speed comparable to Parkinson's disease (PD) [17]. The cholinergic interneurons synapse on the GABAergic striatal neurons that project to the globus pallidus. The cholinergic actions inhibit striatal cells of the direct pathway and excite striatal cells of the indirect pathway. Thus, ChEIs augment cholinergic function, which may oppose the effects of dopamine on the direct and indirect pathways exacerbating parkinsonism in DLB, in which nigrostriatal dopaminergic neurons have been lost [18,19,20,21]. On purely theoretical grounds, ChEI administration targeting cognitive impairment and behavioral symptoms may exacerbate parkinsonism. Despite studies showing that ChEIs did not affect parkinsonism and which did not replicate the possible untoward effects in patients with DLB or PD dementia (PDD) [22,23], concerns over a possible influence on the extrapyramidal symptoms still linger due to a shortage of evidence from large-scale, placebo-controlled, or long-term studies especially in DLB and require further confirmation.
 As in diseases like DLB treatment for one symptom may precipitate others [24] and the combination or severity of the associated multiple, multi-dimensional symptoms varies by patient, a large-scale comprehensive study is essential. Our trials of donepezil in patients with DLB consist of two randomized, double-blind, placebo-controlled trials (RCT) and two open-label long-term extension studies (OLE) and enrolled a large group of patients that may embody patients with diverse demographic characteristics and clinical symptom manifestations, which the current diagnosis of probable DLB may encompass. We therefore developed two types of comprehensive pooled datasets from two RCTs and two OLEs of donepezil for DLB. RCTs provide information with minimized bias, while OLEs involve more patient-years of exposure to donepezil and may thus disclose adverse effects which are not observed in the parent RCTs. Using these datasets of the largest scale ever in DLB, we analyzed the effect of donepezil on the occurrence and worsening of extrapyramidal symptoms in patients with DLB.

Methods
Design of the Phase 2 and 3 Studies
 This analysis pooled the data from the phase 2 and 3 studies of donepezil for DLB conducted in Japan. The phase 2 studies, consisting of a RCT (clinicaltrials.gov reference: NCT00543855) and a subsequent OLE (clinicaltrials.gov reference: NCT00598650), were conducted as two sequential protocols. A 12-week randomized, double-blind, placebo-controlled exploratory study (phase 2 RCT) was first conducted to investigate the efficacy and safety of donepezil at 3, 5, and 10 mg/day starting in 2007 (fig. 1a) [12]. In the patients who completed this RCT, the safety and efficacy of long-term administration at 5 mg were further investigated in the following 52-week OLE (phase 2 OLE) (fig. 1b) [13]. The phase 3 study (clinicaltrials.gov reference: NCT01278407) was conducted as a single protocol consisting of an RCT phase and a subsequent OLE phase. A 16-week randomized, double-blind, placebo-controlled comparative study consisting of a 12-week confirmatory phase (phase 3 RCT) (fig. 1a) [14] and a 4-week transition period and a subsequent 36-week OLE phase were conducted starting in 2011 for a total duration of 52 weeks (phase 3 OLE) (fig. 1b) [15]. The aim was to confirm the superiority of donepezil at 5 and 10 mg/day for 12 weeks over placebo with regard to both cognitive function and behavioral symptoms and to evaluate the safety and efficacy of long-term administration of 10 mg/day for 52 weeks. Each study was conducted in accordance with the principles of the Declaration of Helsinki. The protocols were approved by the institutional review board at each participating center.
Fig.1.JPG

Patients
 The inclusion and exclusion criteria were the same in both RCTs. The inclusion criteria were patients aged ≥50 years with probable DLB fulfilling the consensus diagnostic criteria [2], with mild to moderate-severe dementia [10-26 points on the Mini-Mental State Examination (MMSE) and Clinical Dementia Rating ≥0.5], behavioral symptoms or cognitive fluctuation [Neuropsychiatric Inventory (NPI)-plus ≥8 (rated on 12 items: original 10 NPI items + sleep [25,26] + Cognitive Fluctuation Inventory [27,28])], and with caregivers who could routinely stay with the patients, provide information for this study, assist with treatment compliance, and escort them to required visits.
 The exclusion criteria included PD that was diagnosed at least 1 year prior to the onset of dementia; focal vascular lesions on an MRI or CT that might cause cognitive impairment; other neurological or psychiatric diseases; complications or a history of severe gastrointestinal ulcers, severe asthma, or obstructive pulmonary disease; systolic hypotension (<90 mm Hg); bradycardia (<50 bpm); sick sinus syndrome; atrial or atrioventricular conduction block; QT interval prolongation (≥450 ms); severe parkinsonism (Hoehn and Yahr stage ≥4) [29], and treatment with ChEIs or any investigational drug within 3 months prior to screening. ChEIs, antipsychotics, and anti-Parkinson drugs were not allowed during the study, except for levodopa and dopamine agonists, of which only stable doses were allowed during the RCTs.
 Written informed consent was obtained from the patient (if at all possible) and his/her primary family member before initiating the study procedures.

Donepezil Administration
 In the phase 2 RCT, the patients were randomized to placebo, 3, 5, or 10 mg/day of donepezil (placebo, 3-, 5-, and 10-mg groups) (fig. 1a). In the subsequent phase 2 OLE, all patients received donepezil at 5 mg/day (fig. 1b). Donepezil administration in the 5- and 10-mg groups started with a 2-week titration period with a 3-mg dose, which was applied in all of the studies.
 In the phase 3 RCT, the patients were randomized to placebo, 5, or 10 mg/day (placebo, 5-, or 10-mg group) (fig. 1a). Since the phase 3 study incorporated the RCT and OLE phases, the duration of donepezil administration in the phase 3 OLE differed by treatment group: 52 weeks for the 5- and 10-mg groups (10 mg administration from week 24 and 6, respectively) with a 12-week overlap with the phase 3 RCT, and 36 weeks for the placebo group (3 mg titration from week 16, 5 mg administration from week 18, and 10 mg from week 24) (fig. 1b).
 In the OLEs, a dose reduction to 3 mg in the phase 2 OLE or to 5 mg after week 24 in the phase 3 OLE was allowed upon emergence of a safety concern.

Summary of the Results of the Phase 2 and 3 Studies
 The results of the phase 2 and 3 studies are reported in detail elsewhere [12,13,14,15]. Briefly, in phase 2, the RCT showed that donepezil significantly improved cognitive, behavioral, and global functions with good tolerability, and the OLE demonstrated that administration was well tolerated even for a long duration and that the effect on cognitive and behavioral impairment was maintained for up to 52 weeks. In phase 3, although the RCT failed to confirm a superiority concerning the behavioral symptoms over placebo, it confirmed the efficacy concerning cognitive function (one of the co-primary endpoints) without serious safety concerns. The OLE demonstrated a lasting improvement in cognitive function for up to 52 weeks, without increasing the risk of clinically significant safety events.

Datasets
 The safety data regarding extrapyramidal symptoms derived from these studies were pooled in two ways: RCT and OLE (fig. 1). The datasets of the two RCTs were pooled and analyzed according to allocated treatment during the 12-week period: placebo, 3-, 5-, or 10-mg groups (n = 281) (fig. 1a). The dataset derived from all patients receiving donepezil via long-term administration [i.e. phase 2 OLE and phase 3 OLE (whole period of phase 3: RCT + OLE)] was pooled and analyzed (n = 241) (fig. 1b).

Assessment of Extrapyramidal Symptoms
 The influence on extrapyramidal symptoms was evaluated according to the incidence of extrapyramidal adverse events (AEs) and the Unified Parkinson's Disease Rating Scale (UPDRS) part III [30]. To reduce interrater and intrarater variability, an advanced rater training was conducted, a fixed rater was involved in the assessment of each patient in principle, and an elaborate monitoring was made throughout the study period. Of all the AEs which occurred during the studies (coded according to the Preferred Terms of the Medical Dictionary for Regulatory Activities), the following were identified as extrapyramidal AEs after discussion by the central committee: parkinsonism, rigidity, tremor, camptocormia, gait difficulty, and akinesia. The UPDRS part III was conducted every 12 weeks in the phase 2 RCT and in phase 3, and every 24 weeks in the phase 2 OLE.

Statistical Analysis
 This secondary analysis was based on the safety analysis set of each study, which comprised all patients who received at least one dose of donepezil and had safety assessment data. For the analysis of the RCTs, the incidence of extrapyramidal AEs was summarized by treatment group and compared between the placebo and each active group using Fisher's exact test. The change in the UPDRS part III total and subscale score from baseline was compared between the placebo and each treatment group using analysis of covariance (ANCOVA) with the baseline values as covariates. Subscales were predefined as the following four symptoms: tremor, akinesia, rigidity, and postural instability and gait difficulty, with score ranges of 0-28, 0-36, 0-20, and 0-16, respectively [31,32]. For the analysis of OLEs, the incidence of extrapyramidal AEs was calculated. The UPDRS part III scores were analyzed using Student's paired t test.
 To identify any potential baseline factors that may contribute to the extrapyramidal AEs, the incidence was calculated for subgroups stratified by the potential factors, and univariate and multivariate logistic regression analyses were subsequently conducted. Potential factors included endogenous factors (sex, age, and body weight) and symptom-related factors [UPDRS part III score, Hoehn and Yahr stage (≤2 or 3), and use of anti-Parkinson drugs (use or nonuse)]. In multivariate analyses, either the UPDRS part III score or the Hoehn and Yahr stage was included in the model because of the high correlation between them. In the analysis of the RCTs, the interaction between the treatment groups and factors was tested for each symptom-related factor using a logistic regression analysis. Each interaction was to be included in the model when significance was detected.
 Values of the UPDRS part III score at the final evaluation were imputed using a last observation carried forward (LOCF) method. All analyses were made using SAS version 9.3 (SAS institute, Cary, N.C., USA).

Results
Baseline Characteristics
 The demographic and baseline characteristics of the patients included in this analysis are summarized in table 1. The phase 2 RCT enrolled 140 patients. Of 123 patients who completed the RCT, 108 patients were enrolled in the phase 2 OLE, 81 of whom completed the study. The phase 3 study enrolled 142 patients; the RCT and OLE were completed by 111 and 100 patients, respectively.
Table 1.JPG
 Of the patients included in the RCT analyses, females accounted for 60.9%. The mean age was 78.3 (range 57-95) years; all but 2 patients were 65 years or older. Anti-Parkinson drugs (levodopa or dopamine agonists) were used by 20.3% (57/281) with the mean ± standard deviation (SD) levodopa equivalent dose [33] of 262.0 ± 179.8 mg/day at baseline, and the dosages were not changed during the RCTs. No patients were on antipsychotics. The mean scores for the MMSE and UPDRS part III at baseline were 20.0 and 19.8 points, respectively. The characteristics in the OLE analysis were similar. During the OLEs, levodopa or dopamine agonists were started by 9.1% of patients (22/241), with the dose being increased in 6.6% (16/241) and decreased in 1.2% (3/241).

Analysis of RCTs
Incidence of Extrapyramidal AEs
 The incidence of extrapyramidal AEs was 3.8% (3/80), 5.7% (2/35), 7.5% (6/80), and 5.8% (5/86) in the placebo, 3-, 5-, and 10-mg groups, respectively, and 6.5% (13/201) in the combined donepezil group, with no significant difference from the placebo group (p = 0.639, 0.495, 0.721, and 0.569 in the 3-, 5-, and 10-mg and combined donepezil group, respectively) (table 2). Most of the extrapyramidal AEs were reported as parkinsonism, the incidence of which was somewhat higher in the combined donepezil group [5.0% (10/201)] than in the placebo group [2.5% (2/80)], but the difference was not significant (p = 0.519). Severity was mild or moderate in all cases, and none were serious. Extrapyramidal AEs that led to discontinuation were reported in 3 patients as parkinsonism and were relieved after discontinuation: 2 patients in the 5-mg group (1 patient while receiving 3 mg) and 1 patient in the 10-mg group while receiving 3 mg.
Table 2.JPG
UPDRS Part III Score
 The mean ± SD change in the UPDRS part III total score at week 12 (LOCF) was -0.2 ± 4.3, -0.5 ± 7.4, -1.2 ± 6.8, and -0.1 ± 5.9 in the placebo, 3-, 5-, and 10-mg groups, respectively, and -0.6 ± 6.5 in the combined donepezil group (table 3). The score was rather decreased in each treatment group from baseline, with no significant differences between the placebo and any active groups. Data at the final evaluation prior to week 12 from 30 patients were imputed using the LOCF method, but the results at week 12 of the observed case analysis were very similar to the results of the LOCF analysis (data not shown). Among the UPDRS part III subscales, the mean ± SD score decrease in rigidity was significantly larger in the 5-mg group (-0.8 ± 2.2) than in the placebo group (-0.2 ± 2.0, p = 0.030), although significant differences were not found in the 3- and 10-mg groups for either this or other items (table 4).
Table 3.JPG
Table 4.JPG

Analysis of Long-Term Administration
Incidence of Extrapyramidal AEs
 Extrapyramidal AEs were reported by 12.4% (30/241) of patients (table 2). The incidence did not change over time for 52 weeks; the incidence in weeks 0-12, >12-24, >24-36, and >36-52 was 4.4% (9/204), 2.3% (4/173), 3.1% (5/161), and 6.4% (10/157), respectively (note that the placebo group during the phase 3 RCT was excluded from this calculation due to a difference in the administration period).
 One severe AE was reported by 1 patient as parkinsonism, and all other AEs were mild or moderate in severity. No serious AEs were reported. AEs that led to discontinuation were reported in 4 patients as parkinsonism. AEs that led to a dose reduction were reported in 4 patients: 3 as parkinsonism and 1 as akinesia. All of these AEs recovered or were relieved after dose reduction or discontinuation, except for the single case of parkinsonism which led to discontinuation after dose reduction in the phase 2 OLE. Most of the extrapyramidal AEs that led to neither discontinuation nor dose reduction of the study drug were treated by start or dose increment of anti-Parkinson drugs [72.7% (16/22)].
UPDRS Part III Score
 The mean ± SD change in the UPDRS part III total score from baseline was -0.7 ± 6.5, -0.2 ± 8.6, and 0.1 ± 8.4 at weeks 24, 52, and 52 (LOCF, n = 197, 179, and 227), respectively. The absolute magnitude of the mean change was small, ranging from -0.7 to 0.1, with no significant difference from baseline at any of the evaluation points (p = 0.145, 0.768, and 0.794, respectively).

Exploration for Potential Factors Affecting Extrapyramidal Symptoms
RCT Analysis
 The incidence of extrapyramidal AEs did not differ according to the potential endogenous factors (table 5). Calculated by symptom-related factors, the incidence tended to be higher in the subgroups of the 5- and 10-mg groups with a UPDRS part III score above or equal to the median, a Hoehn and Yahr stage of 3, and use of anti-Parkinson drugs, relative to the incidence in the same subgroups of the placebo group and their respective counterparts in the 5- and 10-mg groups, even with an overall small incidence. The results of the univariate logistic regression analysis are shown in table 6. No significant interactions were detected between the treatment group and the symptom-related factors (UPDRS part III score, Hoehn and Yahr stage of 3, and use of anti-Parkinson drugs: p = 0.920, 0.949, and 0.354, respectively). The UPDRS part III score [odds ratio (OR): 1.087, p < 0.001], Hoehn and Yahr stage of 3 (OR: 5.228, p = 0.005), and use of anti-Parkinson drugs (OR: 4.612, p = 0.003) were the significant factors contributing to the extrapyramidal AEs. In the multivariate logistic regression analysis, the UPDRS part III score was the significant factor (OR: 1.071, p = 0.005) (table 7). In the model including the Hoehn and Yahr stage instead of the UPDRS part III score, a Hoehn and Yahr stage of 3 was significant (OR: 4.857, p = 0.014). In the subgroups of the active drug groups with use of anti-Parkinson drugs, the mean levodopa equivalent doses were comparable between patients with and without extrapyramidal AEs (228.6 and 262.9 mg, respectively; p = 0.679).
Table 5.JPG
Table 6.JPG
Table 7.JPG

Long-Term Studies
 The incidence of the extrapyramidal AEs did not differ greatly by the endogenous factors (table 5). Among the symptom-related factors, the incidence tended to be higher in the subgroups with a UPDRS part III score above or equal to the median, a Hoehn and Yahr stage of 3, and use of anti-Parkinson drugs. In the univariate logistic regression analysis, the UPDRS part III score [OR: 1.052, 95% confidence interval (CI): 1.019-1.087, p = 0.002], a Hoehn and Yahr stage of 3 (OR: 5.126, 95% CI: 2.228-11.794, p < 0.001), use of anti-Parkinson drugs (OR: 4.125, 95% CI: 1.831-9.293, p < 0.001), and age (OR: 0.931, 95% CI: 0.872-0.993, p = 0.030) were the significant factors. In the multivariate logistic regression analysis, the UPDRS part III score (OR: 1.043, 95% CI: 1.007-1.080, p = 0.020) and use of anti-Parkinson drugs (OR: 2.581, 95% CI: 1.058-6.298, p = 0.037) were the significant factors. In the model including the Hoehn and Yahr stage instead of the UPDRS part III score, a Hoehn and Yahr stage of 3 (OR: 5.561, 95% CI: 2.179-14.192, p < 0.001) and age (OR: 0.904, 95% CI: 0.834-0.980, p = 0.014) were significant. In the subgroups with use of anti-Parkinson drugs, the mean levodopa equivalent doses were comparable between patients with and without extrapyramidal AEs (265.4 and 271.5 mg, respectively; p = 0.925).

Discussion
 This study explored the presence of any possible influence of DLB treatment with donepezil on extrapyramidal symptoms using two pooled datasets. In the RCT analysis, the difference in the incidence of extrapyramidal AEs between the active and placebo groups was minimal, and there was no tendency for a dose-dependent increase in the incidence. In the OLE analysis, none of the extrapyramidal AEs were serious. AEs that led to discontinuation or dose reduction were reported only in 8 patients (3.3%), all of which except for one case of parkinsonism recovered or were relieved after discontinuation or dose reduction. Moreover, the possibility of delayed onset or worsening of extrapyramidal AEs with long-term treatment appears low. In contrast to the concern based on the classical dopaminergic-cholinergic imbalance theory about worsening of extrapyramidal symptoms by cholinergic enhancement, these results suggest that patients with DLB can benefit from donepezil, which has a well-established efficacy on cognitive and psychiatric functions [12,13,14,15], with a minimal risk for extrapyramidal symptoms. The absence of an influence of ChEIs, including donepezil, on parkinsonism has been reported in previous studies, along with improvement in a few of these studies, which reinforces the interpretations drawn from this analysis [7,10,11,22,34]. Our finding is also in accordance with accumulating evidence of cholinergic involvement in PD; degeneration of multiple cholinergic projection systems occurs early in PD [35], cholinergic degeneration plays a role in some aspects of motor symptoms including postural control [36] and gait [37], and treatment with donepezil produces reductions in the number of falls in frequently falling patients with PD [38].
 In contrast to our study, a worsening of parkinsonism after ChEI administration has been reported in some studies [18,19,20,21]. Moreover, compared with AD, extrapyramidal symptoms are considered to occur more frequently in patients with DLB. In a 24-week RCT and a 52-week OLE of donepezil in patients with severe AD in Japan, parkinsonism was reported with less than a 5.0% incidence [39,40]. The incidence in the present study is seemingly higher, although the events cannot necessarily be attributed to donepezil but to disease progression.
 In the present study, baseline severity of parkinsonism (i.e. the UPDRS part III score, a Hoehn and Yahr stage of 3, and use of anti-Parkinson drugs) was identified as a predisposing factor for worsening of parkinsonism. Donepezil was not a contributing factor. There was no significant interaction between donepezil and baseline severity. These results suggest that extrapyramidal AEs can mostly be attributed to progression in the relatively severe stage.
 Studies of ChEIs for patients with PDD, which is in the same spectrum of Lewy body disease as DLB, reported a slightly higher incidence of extrapyramidal AEs in the active than in the placebo group (tremor: 3.9 and 10.2% in the placebo and rivastigmine groups, respectively [41]; PD: 6.9, 10.8, and 10.4%, and tremor: 2.9, 7.2, and 7.1% in the placebo and donepezil 5- and 10-mg groups, respectively [42]), although both studies concluded that the active treatment was well tolerated. These studies may enable us to delineate the similar safety profile of ChEIs in patients with DLB manifesting relatively severe extrapyramidal symptoms and in those with PDD.
 In any case, careful attention is certainly required in treating DLB with donepezil. Particular attention should be placed on patients who manifest extrapyramidal symptoms that restrict their daily living activities and who require pharmacological treatment. Nevertheless, even after the occurrence or worsening of these symptoms, dose reduction or discontinuation, or addition of anti-Parkinson drugs may prevent further worsening and lead to recovery or relief.
 An interpretation of this analysis may require consideration of several points. First, the present analysis may not encompass all of the possible factors that may affect the symptoms in treatment with donepezil. Second, the analysis is based on the data obtained under a clinical trial setting where the strict inclusion and exclusion criteria employed may have curtailed the variety of patient characteristics which may be encountered in a real-life setting. Third, patients with very severe parkinsonism of a Hoehn and Yahr stage ≥4 were not included, and thus the present findings cannot be extrapolated to those patients. Finally, the recording of extrapyramidal AEs and UPDRS part III scoring might be confounded due to interrater variability in the assessments in multicenter studies where both neurologists and psychiatrists participated, although a rater training and elaborate monitoring were conducted to reduce the concern. Future studies which overcome all of these possible limitations may be warranted.
 In conclusion, donepezil can treat DLB effectively and safely without relevant worsening of extrapyramidal symptoms. However, its administration to patients whose daily living activities are restricted and for whom pharmacotherapy is required due to parkinsonism necessitates care regarding symptom progression. In case of the occurrence or progression of symptoms, a dose reduction or discontinuation, or addition of anti-Parkinson drugs is considered as an effective approach.

Acknowledgments
 We thank all patients and caregivers for their participation in the study; all investigators and their site staff for their contributions; Clinical Study Support, Inc., for their editorial assistance in preparing this manuscript, and the Eisai study team for their assistance. The studies and analyses were sponsored by Eisai Co., Ltd. (Tokyo, Japan). The sponsor was involved in the study designing, the collection and analysis of data, and review of the manuscript.

Disclosure Statement
 E.M. received personal fees from Eisai during the conduct of the studies; grants and personal fees from Eisai, Daiichi Sankyo, and FUJIFILM RI, and personal fees from Janssen, Johnson and Johnson, Lundbeck, Novartis, Ono Pharmaceutical, Nihon Medi-Physics, and Medtronic outside the submitted work. All grants were for his department, and he received them as the director of the department. M.I. received personal fees from Eisai during the conduct of the studies; grants and personal fees from Daiichi Sankyo, Eisai, FUJIFILM RI, Janssen, Nihon Medi-Physics, Novartis, Pfizer, Takeda, and Tsumura, and personal fees from MSD and Ono Pharmaceutical outside the submitted work. All grants were for his department, and he received them as the director of the department. M.N., H.M., and H.Y. are employees of Eisai. K.K. received personal fees from Eisai during the conduct of the studies and personal fees from Tsumura, Eisai, Janssen, FUJIFILM RI, Novartis, Nihon Medi-Physics, Daiichi Sankyo, Ono Pharmaceutical, Otsuka, and Dainippon Sumitomo outside the submitted work.

References
 (省略)

書評:『樋口直美:私の脳で起こったこと レビー小体型認知症からの復活. ブックマン社, 東京, 2015』 [レビー小体型認知症]

私の脳で起こったこと.jpg
初夏に読んだ樋口直美さんの本の書評を書きました。

タイトル:
 認知症専門医にこそお勧めの本だと感じました。

本文:
 まず最初に、著書の「はじめに」を一部改変して以下にご紹介します。

 「急速に変わりつつあるとはいえ、レビー小体型認知症は、まだ知名度の低い病気です。私は、内科、眼科、整形外科で『レビー…? どういう字を書きますか?』と訊かれました。
 正しく診断されていないだけで、実際には、認知症の約5人に1人がレビー小体型だと専門医は言います。生前にうつ病、パーキンソン病と誤診されていた人気俳優、ロビン・ウィリアムズもレビー小体型認知症でした。
 私も41才でうつ病と誤診され、約6年間、誤った薬物治療を受けました。自分でこの病気を疑い、文献を読み漁り始めたのが、49才。
 50才の秋、専門医に診断され、治療が始まったのは、翌年の夏。抗うつ剤で劇的に悪化した日から、丸9年という歳月がかかりました。」

 私は、日本認知症学会の専門医(指導医)です。
 詳細な記述を読み、私自身も非常に勉強になりました。

 多くの方が、「著者は、本当にレビー小体型認知症?」と疑問に感じることは当然のことだと思います。
 この辺りを説明するのは少し専門的な話をする必要があります。
 近年では呼称が、レビー小体型認知症(dementia with Lewy body:DLB)、認知症を伴うパーキンソン病(Parkinson's disease with dementia:PDD)さらにはパーキンソン病も含め,病理学的な観点からレビー小体病(LBD:Lewy body disease)、あるいはα-synucleinopathyといった包括的な呼称へと変化しつつあるのです。

 もう1点だけ専門的な話をさせて頂きます。
 「DLBを含むレビー小体病の初発病変の局在や、その後の進行形式・速度には大きなバリエーションがあり、さらに症状が出現した後、進行していく場合ばかりでなく、進行していかない場合もあります。現在われわれの知っているDLBは氷山の一角であり、自然経過のバリエーションがわかってくるのはもう少し先ではないかと思っています。」(山田正仁 他:座談会─認知症の早期発見・薬物治療・生活上の障害への対策. Geriatric Medicine Vol.50 977-985 2012)

 発症早期の何らかの対策が認知症への進展を食い止めたことが想定されます。これは、同じ病気を抱える方にとって大きな希望となります。
 私自身は、著書を読み進めながら専門誌を読み漁り、おそらく認知症への進展を食い止めた鍵は、腸内フローラないしはミトコンドリア機能の改善が鍵を握っていたのではないかと推察しております。
 まだ明確には証明されていない仮説ではありますが、「腸内フローラ悪化 → ミトコンドリア機能低下 → レビー小体病」という発症機序を想定している研究者もおられます。
 その仮説が正しければ、腸内フローラを改善する生活習慣、ないしはミトコンドリアの機能を向上させる試みなどに大きな期待が寄せられます。

 著者の樋口直美さんは、今でも、突然の認知機能の変動(「意識障害」とご本人はお話されております)と自律神経症状(血圧の変動など)、視空間認知機能障害、時間感覚の低下(https://note.mu/hiiguchinaomi/n/n8da1f271f912)などで苦慮され生活障害を抱えておられます。そのことは、今年7月に講演会でご一緒する機会があり、ご本人から直接お伺いしました。
 レビー小体型認知症(DLB)に関する正しい情報が普及することを願ってやみません。
 著書を隅々まで読み、私自身“目から鱗”のような情報がありました。DLBを発症する15年も前に「薬剤に対する過敏」が既に起きているなんて到底信じがたい話でした。まずは認知症学会の専門医が率先して正しい知識を身につけることが必要であると深く反省させられました


もっと詳しく勉強したい方は↓
 https://www.facebook.com/atsushi.kasama.9/posts/628261997343483?pnref=story
 「腸内フローラ悪化 → ミトコンドリア機能低下 → レビー小体病」の根拠となる論文などを紹介しております。

まとめ
 http://akasama.blog.so-net.ne.jp/2016-05-29-1

DLBのSPECT所見を読影する際の注意点 [レビー小体型認知症]

認知症の語り.jpg
語り 021

 床を虫がつっつっつーと歩いているのを見て、「あれ、こんなところに虫がいる」って思いました。数秒間なんですけれども、虫が歩いてぱっと止まったときに、それが綿くずだったんですね。それを見たときに、「これは目の錯覚でも何でもない。これこそが幻視なんだ」と思いました。そのとき、ほんとに血の気が引くというか、……冷汗は出ませんでしたけれども、とんでもないことになったと思いました。
 で、病院に行かなければいけないと思いました。ただ、誤診が多いということなので、誤診されたらたまらないと思いまして、調べました。で、この先生なら大丈夫だろう、というところに、かなり遠かったんですけれども、行きました。
 そこで、脳血流の検査、MRIとMGBI〔MIBGのこと〕だったっけ、心筋シンチグラフィの検査をしまして、あと、血の検査とか、血圧の検査とかしました。で、結局、画像には出ませんでした。MRI正常。ま、レビーではそれが当たり前なんですけれども。で、脳血流は、レビーでは後頭葉が血流低化すると言うんですけれども、私の場合は前頭葉が血流低下しているって。「これは、うつ病でよくあるものです」って言われました。心筋シンチグラフィは9割の精度でわかるということなんですけども、……レビーは心臓が(黒く)写らないんですけども、私は写ったんですね〔p.60参照〕。
 知能検査は、計算を全部間違いました。100引く7っていうやつですね。100引く7、はい、また7引いて、7引いてって、それを私は全部間違えたようで……。自分ではわからなかったんですけども、「認知機能の低下があります」と言われました。「何を間違ったんですか」って聞きましたら、「計算が違っていました」って。
 で、「画像で出ないので、診断できません。診断できませんから、治療もできません」と言われました。
 早期発見・早期治療が、残された唯一の希望だと思っていましたので、「治療しない」と言われて、……何か、こう、命綱が目の前で、ぷつんと切られたと感じまして、……ほんとに、私の真後ろに死神が立っていて、今にも鎌を振り下ろしそうなので、「何とかしてください」って言いに行ったのに、「鎌を振り下ろして、けがをしたら来てください」って言われたような……、そういう感じがしましたね。
                    本人11(プロフィール:p.613)
 【認知症の語り─本人と家族による200のエピソード. 健康と病いの語りディペックス・ジャパン, 東京, 2016, pp57-59】

私の感想
 福井俊哉先生が著書『症例から学ぶ戦略的認知症診断』の中で、DLBのSPECT所見を読影する際の注意点について言及しております。
 たいへん重要な視点を述べておられますので以下に抜粋してご紹介致します。

 DLBの診断基準の支持的症状の一つとして,「SPECT上の後頭葉の機能低下を伴った全体的な取り込み低下」がある.これはあくまでも,DLBとADを比較した場合の所見であることに注意を要する.DLBをADと比較した場合には,後頭葉[Lobotesisら2001,Pasquierら2002,Rossiら2009]または頭頂後頭葉[Collobyら2002]における取り込み低下がDLBにてより高度である.しかし,この点が強調され過ぎ,後頭葉取り込み低下を示さない症例はDLBにあらずといった極論すら見聞するが,これは大きな誤解である.後頭葉取り込み低下所見のDLBとADの鑑別診断に対する感度は60~70%[Lobotesisら2001,Pasquierら2002],特異度は87%[Lobotesisら2001]程度である.さらに後頭葉における取り込み低下を呈するDLB症例は7割弱[Tatenoら2008]に過ぎない.一方,DLBやPDDを正常コントロールと比べた場合は,後頭葉には有意な取り込み低下は見られず,頭頂後頭葉,頭頂葉,前頭葉,視床などが主たる取り込み低下部位である[Rossiら2009,Changら2008].側頭葉の取り込みはPDよりもDLBで有意に低値である[Changら2008].したがって,健常人を正常コントロールとするSPECT統計ソフト(easy Z-score Imaging System(eZIS),Voxel-Based Stereotactic Extraction Estimation(vBSEE)をDLB症例に応用する場合には,後頭葉ではなく,頭頂後頭葉,前頭葉,側頭葉にて取り込み低下が見られることがDLBの特徴であることを念頭に置くべきである.後頭葉取り込み低下はDLB診断基準の支持的症状ではあるが,その意味合いは「DLBとADの鑑別上重要な所見である」というもので,DLBを正常対象や非AD認知症疾患と対比した場合の所見ではないことに注意を喚起したい.
 …(中略)…
DLBの血流低下部位.jpg
 図10はDLB19例全例における,検討脳部位における取り込み変化を示したものである.Y軸はこのextensionとseverityの積であるが,マイナス方向は取り込み低下,プラス方向は相対的な取り込み増加を示す.相対的な取り込み増加とは,当該脳部位の取り込み低下が全脳の取り込み低下の平均値よりも軽度であることを意味し,必ずしも実際に取り込みが亢進していることを示すのではない.
 取り込み低下は主に前頭葉と頭頂葉にてみられた.後頭葉ではむしろ相対的な取り込み増加が見られた.これは,DLBを正常コントロールと比較した場合,前頭葉,頭頂葉,前部帯状回,楔前部の取り込み低下が重要であるとの見解[Rossiら2009,Changら2008]を支持するものであった.この結果から,正常例を対照とするeZIS/VbSEE処理のSPECT所見を用いてDLB診断を行う際,後頭葉に単独の取り込み低下を認めなくてもDLBは必ずしも否定できないことが理解できよう.
 【福井俊哉:症例から学ぶ戦略的認知症診断 南山堂発行, 東京, 2011, pp234-238】

DLBのSPECT.jpg
 本例のように,CDT(Clock Drawing Test)などの視空間認知課題の障害が全般性認知レベルに比べて不釣り合いに高度であることがDLBの診断に結びつくことが少なくない.SPECTを用いてCDT障害と高度・軽度DLBの関係を比較した検討[Nagahamaら2008]によると,CDT高度障害DLBにおいて両側前頭葉眼球運動領域,補足運動野,被殻,視床の取り込みが有意に低かった.したがって,DLBでは前頭葉線条体障害が視空間認知に関わる注意/覚醒障害を生じる結果,視空間認知障害が顕著になると推測されている[Nagahamaら2008]
 【福井俊哉:症例から学ぶ戦略的認知症診断 南山堂発行, 東京, 2011, p229-234】

P.S.
[Nagahamaら2008]
 Nagahama Y, et al.:Cerebral substrates related to impaired performance in the clock-drawing test in dementia with Lewy bodies. Dement Geriatr Cogn Disord, 25:524-530 2008.
 Abstractは以下サイトにてお読み頂けます。
 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18477845

DLBの幻視とADの幻視は発生機序が違う [レビー小体型認知症]

幻視に対する薬物療法の考え方

 アルツハイマー型認知症でみられる幻視に対して,有効性を期待できる薬剤は少ない.原則は非薬物療法で対応すべきであるが,夜間の睡眠障害のために日中の覚醒度が低いことから,幻視を訴える患者がみられる.そのときには,夜間の睡眠を確保できる薬剤を使用することで,日中の幻視が軽減することもある.レビー小体型認知症と診断される患者の場合には,ドネペジル(アリセプト[レジスタードトレードマーク])が幻視の軽減から消失を期待できるので,一度はその使用を考慮したい.
 【川畑信也:認知症でみられる行動障害・精神症状BPSDへの対応の実際. Geriatric Medicine Vol.54 447-453 2016】

私の感想:
 DLBの幻視とADの幻視は発生機序が違いましたね。
 以下に復習して下さい。
 

1. はじめに
 BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)の発現には環境要因(独居、環境変化など)、心理的要因(喪失感、孤独感など)、身体的要因(難聴、視力障害、運動制限、身体疾患など)、性格要因(疑い深い、心配性、凡帳面ほか)などが複雑に絡み合っているが、病理学的な基盤は共通して存在する。それは認知症でさえなければBPSDは発現しなかったであろうことからも明らかである。認知症症状は中核症状と周辺症状からなり、BPSDは周辺症状にあたるとされるが、その発現には中核症状も関与している。例えば、「物盗られ妄想」は物忘れだけでは起きないものであるが、中核症状である病的な物忘れが基盤にあることは確かである。

3. 脳の領域と幻覚
1)ATDの誤認・幻覚
 アルツハイマー型認知症(ATD)では視覚情報統合の上位の領域ほど病変が強い。以上のことから、ATDでは情報はインプットされるがそれを統合して有効に利用する機能が冒されているので視覚情報の誤認が起こりやすく。BPSDとしての視覚性誤認や幻視が起こりやすい。これは聴覚系でも同様であり、錯聴、幻聴を引き起こすと考えられる。このような知覚の誤認や幻覚は認知症ではしばしば妄想に発展する。
2)DLBの幻視
 DLBの後頭葉の視覚系でもATDと同じように上位の領域ほどレビー病理が強い。DLBでは後頭葉の脳血流の低下があり、これはDLBの幻視を説明する根拠とされている。これはDLBの視覚性誤認の基盤として矛盾しないが、DLBの幻視はATDと異なった『ありありとした』幻視という特徴があり、頻度も高く、ATDとは異なった機序も関与していると考えられる。

4. ATDの『物盗られ妄想』と『誰かいる妄想』
 妄想の中には脳の局在機能の関与が疑われるものがある。『物盗られ妄想』と『誰かいる妄想』はATDで起こりやすい妄想であるが、いずれも空間認知が関係していると考えられ、ATDで病変が高度に及ぶ頭頂葉領域の関与が示唆される。ATD病変は海馬領域を中心とする辺縁糸に始まり、大脳新皮質に広がる。その進展の様相はNFTの分布とその程度(http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/Braak-NFTstage.JPG)にほぼ相関している。大脳新皮質では一次知覚・運動野は最後に病変が及ぶ領域であり、連合野が冒されやすいが、連合野の冒され方も一様ではない。ATDの連合野は、後部帯状回と上頭頂小葉が最初に冒され、次いで、下頭頂小葉、中・下側頭葉が続く。経時的な機能画像研究で示されているように、ATD病変は後方から前方(前頭葉)に広がる。早期に冒される新皮質で最も病変が高度に及ぶのは後部帯状回と下頭頂小葉である。ATDの新皮質病変で興味深いことは早期かつ高度に冒される領域はヒトで最もよく発達し、遅くに髄鞘化される領域である(図4)。最も強く冒される下頭頂小葉は角回、縁上回で構成される。この領域は異種感覚連合野として概念、言語、行為の遂行や空間的認知など脳の高次機能に関わるが、角回の電気刺激で「誰かが傍にいる」「影のような人物がいる」という現象が再現性をもって確認されている(Arzy S, Seeck M, Oritique S et al:Induction of an illusory shadow person. Nature Vol.443 287 2006)。ATDの「誰かいる妄想」と角回病変の関連が示唆される。
 「物盗られ妄想」について、病的記憶障害が関与していることは確かであるが、ATDと同じく海馬領域にNFT病変が強いが新皮質が冒されない神経原線維型認知症(SD-NFT)では病的記憶障害が長く続く特徴がある。SD-NFTでは深刻味に乏しい被害妄想は起こるが、『物盗られ妄想』は稀である。これは『物盗られ妄想』の成立には海馬病変に加えて、空間認知や判断力の低下などの皮質機能の関与が必要であることを示している。池田(池田 学:アルツハイマー病における物盗られ妄想と記憶障害の関係について. 高次脳機能研究 Vol.24 147-154 2004)の画像研究では楔前部の機能低下の関与を指摘している。この領域は頭頂葉内側に位置し、この領域の障害で自分が物を置いた場所を想起するのが困難になるとされ、外側の下頭頂小葉と並んでATDで病変の及びやすい領域である。妄想は思考障害であるので概念や言語が関与するが、幻覚よりも広範な機能が関わると考えられる。妄想と名のつくものを一括りには出来ない。
 【池田研二:BPSDの神経病理. Dementia Japan Vol.28 18-27 2014】

嗅覚障害 [レビー小体型認知症]

……2014年8月12日 臭覚障害の実験
私の脳で起こったこと.jpg
 臭覚と認知症について調べていて、ピーナッツバターと定規でアルツハイマー病の早期発見をするという研究があることを初めて知った。既にこの春に 『ためしてガッテン』などで紹介していた様子。臭覚低下に左右差があり、左の方が、低下が強いという。
 ピーナッツバターを使ってやってみた。右18cm。左10cm。三叉神経を刺激しないからピーナッツバターが良いのだと書いてある。刺激臭がなければいいのかと思って、味噌でもやってみる。左右差がほとんど出ない。
 疑問は色々ある。レビー小体型の臭覚低下と同じメカニズムなのか? それとも私は、アルツハイマー病を合併しているのか? 短期記憶障害を特に感じないが、近い将来、一気に起こるのか? 私に残された時間はわずかなのか? でも、たとえ記憶障害が起こったとしても、それを補う対策を取れば、自立した生活は続けられるのではないか。記憶障害があっても、思考力や人格が変わらなければ、私は、私のままだ。
 浦上克哉教授は、アロマセラピーで臭覚を刺激することが、認知症の予防になると書いている。刺激することで臭覚は回復するとも。
 私は臭覚にも波がある。右肩下がりではない。回復したと感じる時もある。臭覚の神経もオンになったりオフになったりするのだろうか? わからないことばかり。
 【樋口直美:私の脳で起こったこと レビー小体型認知症からの復活. ブックマン社, 東京, 2015, pp187-188】

私の感想
 朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」から「嗅覚障害」に関連する記述を拾い出してみました。

3. DLB診断あるいは記憶障害出現以前からみられる症状
 「OnofrjらはDLBと診断される以前に、しばしば身体症状が認められることを報告している。彼らによれば15例の検討から、87%の患者が心気症状を呈した(Onofrj M, Bonanni L, Manzoli L et al:Cohort study on somatoform disorders in Parkinson disease and dementia with Lewy bodies. Neurology Vol.74 1598-1606 2010)。このほか消化器症状をともなう多発性の疼痛は53%、麻痺様症状は40%、感覚異常は27%にみられた。
 Fujishiroらは、記憶障害が出現する以前に見られる症状を検討した(Fujishiro H, Iseki E, Nakamura S et al:Dementia with Lewy bodies: early diagnostic challenges. Psychogeriatrics Vol.13 128-138 2013)。その結果、記憶障害出現前に便秘が76%の患者にみられ、平均9.3±13.8年記憶障害出現に先行したという。このほか、嗅覚障害(44%, 8.7±11.9年)、うつ(24%, 4.8±11.4年)、レム睡眠行動障害(66%, 4.5±10.5年)、起立性めまい(33%, 1.2±6.5年)の順であった。」(水上勝義:DLBの早期診断. Dementia Japan Vol.28 176-181 2014)


朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」第431回『加齢とからだ、加齢と知能─目的遂行に欠かせない作業記憶』(2014年3月12日公開)
メモ5:ワーキングメモリー(ワーキングメモリ)
 ワーキングメモリ(作業記憶・作動記憶)とは、短期記憶の概念を拡大し、課題を遂行するための処理機能の役割を含む概念です。作業中の何かを一時的に覚えておく記憶であり(例:電話をかけるために、電話帳を見て番号を覚える)、主として前頭葉の前頭前野(概ね前頭葉の前半部分)が司っています。
 『ホンマでっか!? TV』の辛口コメントで有名な澤口俊之先生は、「作業記憶は、言語理解はもとより、思考や推論、計画、決断などの多様な認知機能(高次脳機能)の最重要な基礎機能となっている。」(澤口俊之:大脳皮質─作業記憶. Clinical Neuroscience Vol.29 188-191 2011)と指摘しております。
 また、大阪大学大学院人間科学研究科の苧阪満里子教授は、ワーキングメモリについて以下のように述べております(苧阪満里子:ワーキングメモリ. こころの科学 通巻138号 47-51 2008)。
 「ワーキングメモリは目標志向的であり、課題の遂行に必要な情報を一時的に活性化状態で保持するとともに、平行して処理をおこなう機能をもつ。」
 「高齢者はある程度の年齢まで短期記憶は保持されるものの、ワーキングメモリは加齢とともに徐々に低下する。」
 「ワーキングメモリは、社会生活のなかで毎日を無事過ごすのになくてはならないシステムである。火の消し忘れによる台所の火事、運転中の携帯電話(二重課題下)等が引き起こす事故の背景には、ワーキングメモリの機能劣化が潜在しているといっても過言ではない。」
 遂行機能が低下してきますと、いったいどのような状況が生じてくるのでしょうか。住友病院副院長の宇高不可思医師(神経内科)が繁田雅弘医師(首都大学東京)、篠原幸人医師(国家公務員共済組合連合会立川病院神経内科)との鼎談のなかで、分かりやすく解説しておりますので以下にご紹介しましょう(一部改変)。
 「アルツハイマー病において日常生活で気づかされる一番重要な症状は、短期記憶の障害、記銘力の障害、エピソード記憶の障害です。同じことを何度も何度もいう、あるいは質問する、ある用件で電話をして、まったく同じ用件で翌日も同じ人に電話をする。
 記憶以外では、遂行機能の低下があります。ちょっと複雑なことができなくなる、仕事でミスが多い、あるいは今までちゃんとやれていた家事でも間違いが多くなる、料理もそうですが、一つひとつの動作はできても、計画的に材料を買って準備するという遂行機能に障害が起こる。一緒に暮らしている人には、日常生活でちょっと変だなと気づきます。
 それから、意欲の低下。だんだんものぐさになって、今まで自分でやっていたことをやらなくなる。」(繁田雅弘、篠原幸人、宇高不可思:鼎談─本邦の認知症. 成人病と生活習慣病 Vol.43 799-813 2013)

 『バナナ・レディ(前頭側頭型認知症をめぐる19のエピソード)』(Andrew Kertesz著 河村満・監訳 医学書院発行, 東京, 2010)という著書のエピソード16には、「行動を『遂行』するのに必須の脳内の要素は『ワーキングメモリ』であり、言い換えれば、適切な行動を決定するために、直前に起こったことを頭にとどめつつ過去の経験と照らし合わせる過程である。遂行機能はアルツハイマー病や脳卒中など、前頭側頭型認知症(FTD)以外にも多くの神経疾患や精神疾患で障害される。また、健常者でも加齢に伴い遂行機能(エグゼクティブ・ファンクション)は低下する。遂行機能の障害は特異性は低くても、FTDの初期にも感度が高く、最初に現れる症状となりうる。」と記載されております。
 認知症の症候学に詳しい滋賀県立成人病センター老年内科の松田実部長は、論文(松田 実:認知症の症候論. 高次脳機能研究 Vol.29 312-320 2009)において、「MMSEにおける計算の誤りは、計算そのものの誤りではなくworking memoryや注意力の障害と考えられる」と述べています。
 松田実部長の報告によりますと、初期アルツハイマー病におけるMMSEの減点項目は3単語遅延再生、見当識、計算の3項目がほとんどであり、計算の誤りは計算の途中で引く数を保持できずに誤ってしまう場合がほとんどであった(典型例:100から順に7を引く課題では、79まで正解して「9を引くんやったかな?」といった誤り)と報告しています。

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 久しぶりに日本医師会雑誌の「生涯教育」問題に挑戦してみて下さいね。

【問題2-2】嗅覚障害で正しいのはどれか。1つ選べ。
①嗅覚同定能力は50歳代から低下する。
②原因として最も多いのは頭部外傷である。
③慢性副鼻腔炎では嗅神経の変性は起こらない。
④嗅覚が低下しても味覚が変化することはない。
⑤嗅覚障害はアルツハイマー病の早期症状である

【正解】
 私は⑤を選択しました。

【解説】
 近年、パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患の発症前に嗅覚障害が出現することが判明し、嗅覚検査がこれらの疾患のバイオマーカーとして用いられるようになっている。中枢性嗅覚障害では、嗅覚自体の低下と共に、その認知能力および識別能力の低下が特徴とされている。
 
嗅覚障害の原因別頻度と特徴
 表に金沢医科大学耳鼻咽喉科嗅覚外来における原因別頻度を示す。最も多いのは慢性副鼻腔炎によるものであり、アレルギー性鼻炎も含めると嗅覚障害患者の半数以上を占めている。次いで感冒罹患後、頭部顔面外傷と続くが、原因不明の嗅覚障害も少なからず存在する。

 嗅覚検査開発のために行われた過去の研究でも、65歳以上で嗅覚が有意に低下することが報告されている。したがって、嗅覚低下で問題になるのは、特定される疾患を除けば65歳以上の高齢者であるといえる。

 嗅覚障害患者が日常生活で最も困っていることは、食品の腐敗に気付かないことであり、それ以外にも、ガス漏れ、煙に気付かないなどの生活面での安全、味覚の変化による食欲の低下、食への関心の低下、調理の不具合も、半数以上の患者が日常の支障と感じている。

【三輪高喜:嗅覚障害の疫学と臨床像. 平成26年3月号・日本医師会雑誌 Vol.142 2623-2626 2014】

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 「嗅覚低下は必ずしもパーキンソン病に特異的ではなく、関連した神経変性疾患において広く観察されるとの指摘もあり、臨床的にはアルツハイマー病においても強い嗅覚低下がみられることが報告されてきた。しかし、病理学的検討からは嗅覚低下がアルツハイマー病の病理変化の程度には依存せず、むしろ随伴するLewy小体の出現に関連していることが示唆されている。臨床的にも、Lewy小体型認知症との比較においてアルツハイマー病の嗅覚低下はより軽度であることが知られている。」(武田 篤、馬場 徹:パーキンソン病における嗅覚障害と扁桃体. Clinical Neuroscience Vo.32 659-661 2014)


朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」第766回『軽度認知障害? それとも?─料理の味付けが変化』(2015年2月16日公開)
さて、実行機能障害(遂行機能障害)が生じてきますと、目的をもった行動や動作の遂行が困難な状態となり、料理・掃除・仕事・後片付けなどの「段取り」が悪くなります。
 八千代病院(愛知県安城市)神経内科部長の川畑信也医師が軽度アルツハイマー病患者さん72名(MMSEが20点以上に該当)で調査した結果によれば、「軽度アルツハイマー病患者さんにみられる実行機能障害」ベスト5は以下のものでした(川畑信也:物忘れ外来ハンドブック─アルツハイマー病の診断・治療・介護─ 中外医学社, 東京, 2006, pp44-46)。
 1 伝言を正確に書いて伝えられない        :74.6%
 2 余暇活動や趣味に関心がなくなってきた     :63.8%
 3 適切な交通手段をきちんととれない       :57.4%
 4 適切な品物を買って店から戻れない       :51.5%
 5 薬を自分から飲もうとしない          :50.0%
 5 以前行っていた家事をきちんとこなせなくなった :50.0%

 5の「家事」の中で、料理に関する話は、ご家族がよく訴える症状です。
 料理という実行機能は、献立を考え、必要な食材を考え買い物し、調理して味付けを吟味し盛りつけるという多くの過程を必要とします。
 川畑信也医師は、「認知症に罹患している患者さんが作る料理は、以前に比べて味が濃くなってくる、辛くなってくることが多い。これは、患者さんの味覚が鈍麻してくることと記憶障害のために不必要に調味料を加えたり煮込みすぎる傾向からと思われる。以前は多くの種類の料理ができたのにできる料理の数が減ってきたときも危険信号である。この料理の問題は比較的早期から家族が気づく行動の変化といえる。」と指摘しています。
 アルツハイマー病患者さんにおいて料理の味付けが変化する背景には、感覚器の機能低下が絡んでいる可能性もあります。

 東京大学医学部附属病院老年病科・保健健康推進本部の亀山祐美助教は、認知症患者さんにおける感覚器の機能低下について詳細な報告をしております(亀山祐美:感覚器の機能低下と認知症. 医学のあゆみ Vol.239 No.5 388-391 2011)。一部改変して以下にご紹介します。
 「高齢者では老化とともに高周波の音が聞こえにくくなり、50歳くらいからすこしずつ低下しはじめ、65歳以上では約30%が一定の聴力障害を起こしている。当科に『物忘れ精査入院』した99名の患者において、認知症の行動・心理症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia;BPSD)の有無と難聴の有無との関連を解析した。その結果、難聴とBPSDの有無には有意な関連が認められた(BPSDありの群の43名中21名に難聴あり)。とくに物盗られ妄想との関連がみられた。このように、聴覚障害があるとBPSDなどの精神症状を生じやすい。
 視覚障害や聴覚障害は眼鏡・補聴器の装用あるいは手術による治療の可能性もあるが、加齢に伴う嗅覚障害や味覚障害には有効な治療法はなく『年を取ればあたりまえ』と放置されがちである。嗅覚障害が日常生活に与える影響はさして強くないとみなされがちである。しかし、ガス漏れや鍋をこがしても気づかないといった思わぬ事故につながることもあり、看過することはできない。最近では嗅覚障害が認知症早期のサインとして注目されている。
 嗅細胞にニオイ分子がつくと電気信号が起こり、嗅神経から一次中枢である嗅球に伝わる。嗅球で処理された情報は二次中枢である嗅皮質を経て前頭前野に達する。嗅覚に関する情報は扁桃体や海馬などの大脳辺縁系に到達し、最終的な嗅覚の認知は記憶と照合されて認識される。
 認知症患者において味覚障害を訴え拒食になるケースも見受けられ、中枢への味覚伝導の部分の問題も生じると考えられる。」
 上記の記述にありますように、嗅覚は原始的な感覚で中枢経路は他の感覚と違い視床を経由せずに大脳辺縁系に到達します。近年、嗅覚を刺激することで認知症の進行を穏やかにする、一時的に意識を晴明にすることができるという考えから食事前にアロマテラピーを行い、安全な食事介助を行う試みもなされております(正田晨夫:認知症患者の口腔ケア. 精神科 Vol.19 132-140 2011)。
 なお、嗅覚は視床を経由しない唯一の感覚であると考えられてきましたが、視床が関与しているという指摘もあります(岩田 誠、河村 満・編集:脳とアート─感覚と表現の脳科学 医学書院, 東京, 2012, pp71-72)。
 また、東京ふれあい医療生協梶原診療所在宅サポートセンター長の平原佐斗司医師は、「AD(アルツハイマー病)で、どのような感覚器の障害が起こるかは十分明らかにはなっていませんが、一般的には、視覚、ついで聴覚などの系統発生学的に新しい感覚器の機能から低下すると考えられています。」と述べたうえで、「ADでは、味覚や嗅覚、触覚などの原始的な感覚は重度になっても保たれていると推定されています。そのため重度の患者に対しても、ハーブやアロマ、タクティールなどの非薬物療法が有効だと考えられるのです。」と指摘しております(平原佐斗司編著:認知症ステージアプローチ入門─早期診断、BPSDの対応から緩和ケアまで 中央法規, 東京, 2013, p28)。

リバスチグミンとドネペジルの差異 [レビー小体型認知症]

リバスチグミンとドネペジルの差異―私のスライドより

 図表1-1「薬物に関する根拠の現状」【編/小阪憲司、著/森 悦朗:レビー小体型認知症の診断と治療─臨床医のためのオールカラー実践ガイド. harunosora, 川崎, 2014, p111】におきまして、認知機能障害に対する根拠として、DLBにおいてはドネペジルが「4(=有効:2つ以上の高品位のRCTで効果が示され、他に矛盾した知見がない)」でリバスチグミンが「2(=可能性あり:RCTの部分的・事後的解析、あるいは低品位のRCTで示唆されている)」、一方PDDではドネペジルが「2」でリバスチグミンが「4」と記載されております。
 これは不思議ですよね。病理学的にも症候学的にも共通した病態であるにも関わらず治療効果に差異が出てくるということは・・。
 だとすれば、ドネペジルとリバスチグミンの作用機序の違いが影響しているとしか考えられません。
 発売された当初は、ドネペジルとリバスチグミンとガランタミンの違いについて医学雑誌、講演会でよく話題として提供されました。
 最近では、3者の違いについて触れられることはほとんど無くなりました。それは、細かな違いこそあれ大きな違いは無いだろう・・というコンセンサスが得られてきたからではないでしょうか。
 しかし、薬剤過敏の目立つレビー小体型認知症(DLB)の治療におきましては、その“細かな違い”が病状に大きく影響しうるかも知れないということを忘れてはいけないのかも知れません
 そこで、DLBにおいて比較的治療効果が高いのではないかと指摘されてきたリバスチグミンと、従来からの治療薬で現在DLBに対して唯一保険適用(http://kaigo123.net/rebi-chiryo/)を有しているアリセプトの差異について考察するため、私のスライド集に忘備録としてしまい込んであった文献を抜き出してみました。
 この中に、何らかのヒントが隠されているとは思うのですが、現状ではまだ推測の域を出ておりません。


AChE3剤の作用機序の違い.jpg
 【高齢者のアルツハイマー型認知症治療における課題と展望. Geriat Med Vol.49 815-824 2011】

3剤の違い1.jpg
【池田篤平、山田正仁:アルツハイマー病新薬の使い分け方. 医学のあゆみ Vol.239 No.5 407-412 2011】
 

 アルツハイマー病、とくにBuChEによるアセチルコリン分解が主体となった進行例でもリバスチグミンは有用である可能性が期待されている。
 【岩手医科大学神経内科高橋智准教授:抗ChE-I剤とメマンチンの現状. Modern Physician Vol.30 1139-1143 2010】



 AChEは主に神経細胞に発現するが、BuChEは神経細胞のほか、グリア細胞にも発現するのが特徴である。ADでは進行に伴って、神経細胞の変性・脱落が起こりAChE活性は低下するが、一方でグリア細胞は増生し、BuChE活性が上昇する。そこにリバスチグミンのBuChE阻害作用が働くことで、シナプス間隙のACh濃度を上昇させることができる。
 【下濱 俊:Geriat Med Vol.49 819 2011】



 ドネペジル・ガランタミンで消化器症状が出現したら、消化器症状の頻度が少ないリバスチグミン・パッチに変更を検討できる。
 【繁田雅弘:Medical Practice Vol.29 799-802 2012】



 リバスチグミンはAChEといったん結合すると分離するまで長時間かかるため、偽非可逆性ChE阻害薬と言われ、最高血中濃度までの時間は0.5~2時間と短いが10時間程度の持続性ChE阻害作用を有する
 【和田健二、中島健二:Alzheimer病の治療薬-総論. 神経内科 Vol.76 113-119 2012】



 Bullockらは中等度AD患者994名についてプラセボ対照試験を行い,リバスチグミンとドネペジル塩酸塩の効果を比較したところ,NPI-10の下位項目にはいずれも有意差は認められなかった【Bullock R, et al. :Rivastigmine and donepezil treatment in moderate to moderately-severe Alzheimer’s disease over a 2-year period. Curr Med Res Opin. Vol.21 1317-1327 2005】
しかし,患者を75歳末満と75歳以上の2群に分けて再検討したところ,75歳末満の群では,不安,無為,脱抑制,睡眠,食欲,妄想の下位項目について,リバスチグミンがドネペジル塩酸塩よりも有意な効果が認められた【Bullock R, et al. :Effect of age on response to rivastigmine or donepezil in patients with Alzheimer’s disease. Curr Med Res Opin. Vol.22 483-494 2006】
 【朝田 隆、木之下 徹:『認知症の薬物療法』 新興医学出版社 2011 p38】




 Chee-Iのうちrivastigmineは、DLBにおける不安や意欲低下に対して効果的だったという報告(McKeith I et al:Efficacy of rivastigmine in dementia with Lewy bodies: a randomised, double-blind, placebo-controlled international study. Lancet Vol.356 2031-2036 2000)があるため、本邦でも使用経験の蓄積が待たれる。
 【熊谷 亮、一宮洋介、新井平伊:認知症の診断と治療における精神科的アプローチの特性. Dementia Japan Vol.26 164-170 2012】



順天堂大学大学院精神行動科学・新井平伊教授
 「海外の報告では、ドネペジル効果不十分例におけるリバスチグミンパッチへの反応率が約70%であった(Figiel GS:Prim Care Companion J Clin Psychiatry. Vol.10 291-298 2008)とされているため、効果不十分であった患者への切り替え投与も今後検討すべきでしょう。」
 【認知症治療における新規薬剤への期待. 2011年11月10日付日経メディカル第528号 113-116】



 G1-subtypeのAChEは海馬、扁桃体などのAD病変が強く認められる部位に強く発現し、リバスチグミンは他のAChE阻害薬に比べて、G1-subtypeのAChEへの選択性が高い。ADCS-ADL(Alzheimer’s Disease Cooperative Study Activities of Daily Living)スコアを用いた日常生活活動能力では、「入浴」、「買い物」、「何かを書き留める」、「最近の出来事を話す」などの点で有意な改善が報告されている(Alva G et al:Efficacy of rivastigmine transdermal patch on activities of daily living:item responder analyses. Int J Geriatr Psychiatry Vol.26 356-363 2011)。
 【門司 晃:リバスチグミンの臨床. MEDICINAL Vol.2 56-62 2012】



 DLBの治療は容易ではありません。薬物療法として、McKeithらは、AD治療薬であるアセチルコリンエステラーゼ阻害薬のなかでは、リバスチグミンがより効果的と報告(McKeith IG et al:Diagnosis and management of dementia with Lewy bodies:third report of the DLB consortium. Neurology Vol.65 1863-1872 2005)しています。レビー小体型認知症を命名したMckeithらは、レビー小体型認知症では、リバスチグミン投与群はプラセボ群に比べてアパシー、不安、妄想、幻視の有意な改善がみられ、レビー小体型認知症のBPSDにおけるリバスチグミンの有用性を報告(McKeith IG et al:Efficacy of rivastigmine in dementia with Lewy bodies:a randomized, double-blind, placebo-controlled international study. Lancet Vol.356 2031-2036 2000)しています。
 【木村武実:BPSD─症例から学ぶ治療戦略 フジメディカル出版, 大阪, 2012, pp29,107】



 著者は、保険適応外であるが、パーキンソン病に伴う認知症(Parkinson’s disease with dementia;PDD)あるいはレビー小体型認知症の患者さんに、しばしばイクセロン・リバスタッチを使用している。幻覚などの精神症状が著しく改善・消失する事例が少なくない
 【川畑信也:臨床医へ贈る抗認知症薬・向精神薬の使い方 中外医学社, 東京, 2012, pp40-41】



リバスチグミン18mg=ドネペジル9.4mg
 リバスチグミンは、最大容量18mgがドネペジル9.4mgに相当し(Bullock R, Touchon J, Bergman H et al:Rivastigmine and donepezil treatment in moderate to moderately-severe Alzheimer‘s disease over a 2-year period. Curr Med Res Opin 2005 Vol.21 1317-1327)、さらにパッチ剤となったため、高容量の投与も可能である。
 ドネペジルの項でも述べたが、実際、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は高容量必要であることが示唆されており、その点でリバスチグミンパッチは有効である。
 【工藤 喬、武田雅俊:認知症の新しい薬物療法. 精神科 Vol.22 418-423 2013】



 進行したADでは、BuChEを抑制する方がより効果がある可能性がある。
Rainaらのメタ解析では9試験(2,164症例)が検討され、認知機能や全般的臨床症状で有意な改善を認めている【Raina P et al:Effectiveness of cholinesterase inhibitors and memantine for treating dementia:evidence review for a clinical practice guideline. Ann Intern Med Vol.148 379-397 2008】。
 しかし、高度ADに対する効果についてのメタ解析では、2試験のみが評価対象となり、その効果は限定的であると報告【Birks J et al:Rivastigmine for Alzheimer’s disease. Cochrane Detabase Syst Rev, 2009;CD001191】、さらなる検討が必要である。
【浜口 毅、山田正仁:認知症の薬物療法─認知症の中核症状に着目した治療薬の使用方法と注意点. Geriat Med Vol.51 39-45 2013】



リバスチグミン─BuChを介する効果か?
 BuChは、記憶を司る海馬や喜怒哀楽に関与する扁桃体に多く発現するため、易怒性、易刺激性、無気力(アパシー)などに効果的である。
 【吉岩あおい:認知症治療薬の特性─認知症の人のために、介護者の負担軽減に根ざした治療─. 第14回日本認知症ケア学会プログラム・抄録集, pp30-31 2013=特別講演2】



Six-month, placebo-controlled randomized controlled trials (RCTs) of the cholinesterase inhibitor rivastigmine have indicated modest but significant benefits in cognition, function, global outcome and neuropsychiatric symptoms in both PDD and DLB. (コリンエステラーゼ阻害剤リバスチグミンの6カ月のプラセボ対照無作為化試験では、認知、機能、全般的な臨床アウトカム、神経精神徴候においてPDDとDLBのいずれにおいても大きくはないものの有意な効果が示されている。)
 他のコリンエステラーゼ阻害剤のRCTによるエビデンスについては結論が得られていない。最近のPDD/DLB患者を対象としたメマンチンのRCTでは、全般的な臨床アウトカム、なかでも睡眠障害に対して明確な有効性が得られている。抗精神病薬の感受性リスクが高いので、抗精神病薬の投与は避けるべきである。PDD/DLB患者のかなりの割合でレボドパに対して反応するが、特に幻視などの神経精神徴候を増悪させる傾向があるため、抗パーキンソン病薬投与の際にはケアの必要がある(Ballard C, Kahn Z, Corbett A:Treatment of Dementia with Lewy Bodies and Parkinson's Disease Dementia. Drugs Aging Vol.28 769-777 2011)。
 【山本泰司:最近のジャーナルから. 認知症の最新医療 Vol.3 102 2013】




幻視─フレンチトースト [レビー小体型認知症]

朝日新聞アスパラクラブ「ひょっとして認知症-PartⅠ」第187回『NHK番組「認知症と向き合う」を観て(その2) 62歳のある認知症』(2011年9月13日公開)
 9月7日に紹介されたのは62歳の金子智洋さんと、62歳の加藤千賀子さんです。たまたまなのかどうか分かりませんが、今回の「シリーズ認知症と向き合う」で登場した方は皆さん62歳でしたね。
 金子智洋さんは、レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies;DLB)と診断されています。シリーズ第20回『幻視が特徴の認知症とは』にて詳しくご紹介した疾患ですね。
 幻視のある患者さんが幻視に関する自分の考えを述べているシーンが非常に印象的です。金子さんは、「おふくろと節子がつるんで、『それは模様なんだから』というふうに援助してくれようとしているのは分かるんですけども、『こうだ!』ということを押し付けちゃう部分が・・(僕の方がね)。悪いなとは思うんだけれども、でもやっぱりそうはいうものの、このお皿のなかの虫は絶対許さないなと・・」と心境を語ります。
 妻の節子さんは、智洋さんがパンくずを虫と見間違えないように「フレンチトースト」にしました。フレンチトーストが功を奏して虫は随分と出にくくなったようです。
 
 加藤千賀子さんは、前頭側頭型認知症(FTD)と診断されています。シリーズ第22回『ピック病をご存じですか?』にて詳しくご紹介しておりますね。
 当初、軽い記憶障害と「盗聴されている」という妄想がみられ物忘れ外来を受診したところ、「神経精神専門医に行ったほうが良い」と言われます。
 そこで「統合失調症」と診断され、精神病院の閉鎖病棟に入院となり大量の薬が処方されます。
 統合失調症に関しては、シリーズ第173回『妄想性障害(その1)』にて少し触れております。
 夫である勝雄さんが面会に行くと、千賀子さんから「父さん、私がここにいたら病気になっちゃうよ」と言われてしまいます。詳しい経緯は放送では紹介されておりませんが、その後医療機関を転々とし、5人目の医師によってようやくFTDという診断にたどり着きます。
 その後、千賀子さんはデイケアに通うようになりました。当初は集団生活に馴染めずに他の利用者とのトラブルが絶えない状況だったそうです。しかし、施設の横溝和子看護師長が千賀子さんの「文字の美しさ」に気づきます。
 千賀子さんがかつて書道の先生をしていたことを知り、デイケアの誕生会で使う看板を書いてもらうことになります。
 できることが増えて行くにつれて、千賀子さんの症状は次第に落ちついてきます。国立長寿医療研究センター内科総合診療部の遠藤英俊医師は、書道により本人の自信が回復したことが症状の改善に繋がったと分析します。


盗聴されている
投稿者:笠間 睦 投稿日時:11/09/13 11:19
 「盗聴されている」という訴えがあった場合には、私は先ずはシリーズ173回『妄想性障害(その1)-病的な妄想いろいろ』にてご紹介した「妄想性障害」を診断する際の念頭におくと思います。
 また、年齢が高齢でしたらレビー小体型認知症(DLB)も鑑別診断の中には入れる必要があると思います。

 「軽い記憶障害 , 盗聴されている」→「前頭側頭型認知症(FTD)」は結びつきにくいですね。誤診され5人目の医師でようやく診断がついたのも頷けます。
 しかしながら誤診は誤診。真摯に結果を受けとめる必要があるのでしょうね。

 2010年6月に開催された第25回日本老年精神医学会の抄録に記載されていますように、新潟医療福祉大学大学院医療福祉学研究科保健学専攻言語聴覚学分野の今村徹教授が、「前頭側頭型認知症(Frontotemporal dementia;FTD)では妄想の頻度は低く、幻覚は極めて稀であるとされている。今回我々は被害妄想と幻聴を呈したFTD の一例を報告する。」(http://184.73.219.23/rounen-s/J-senyou/D_gakkai_koenkai/25th/koutou2-1.htm)という症例を報告しています。
 上記の報告によると、73歳女性において実際に認められた症状は、3軒隣の住人に盗聴器を仕掛けられているという被害妄想と、「夜間その家からカラオケの声が聞こえてくる」、「自分の話したことと同じことが聞こえる」という幻聴が初発症状に含まれておりました(今村 徹 他:幻覚、妄想を初発症状に含み前頭側頭型認知症(Frontotemporal dementia;FTD)に一致する臨床症候群を呈した一例. 老年精神医学 Vol.22 595-605 2011)。


本人には実体験
投稿者:笠間 睦 投稿日時:11/09/13 12:42
 松本診療所ものわすれクリニックの松本一生院長(大阪人間科学大学教授)は、「妄想」に関して以下のようなコメントを述べられています。
 「医学用語として使われる妄想についても認知症の本人にしてみれば、今まさにそのようなことを実体験として感じているのである。たとえその体験が真実ではなく、その人の病的体験であろうとも、本人からすると『今、まさにそのように体験している』と感じているのである。それゆえ周囲の者がその状況だけを見て、『この人は妄想を持っている』と一言で片づけるのではなく、病気のためにその人が体験している世界がどのようなものなのかを考え、そのような世界にいる人ができる限り恐怖や恐れなく過ごせる状況を作ろうと心掛けることが大切である。」(松本一生:認知症の人と家族を支えるということ. 現代のエスプリ通巻507号 ぎょうせい発行, 東京, 2009, pp8-9)


実体験(架空)を尊重する
投稿者:ムラタケ 投稿日時:11/09/13 19:41
「 本人には実体験」という説明を聞いて、そういうことなのだと、納得しました。おかしいとか、間違っていると言われた本人が、怒ったり不信を募らせるのは当然のこと。今は亡き認知症の義父に、厳しい批判の言葉を浴びせたこと、反省しています。ごめんなさい。

ムラタケさんへ
投稿者:笠間 睦 投稿日時:11/09/13 20:38
 あまり思い出したくない過去を振り返らせてしまったみたいですね。
 認知症ケアへの理解が深まってきたのは、まだここ10年程度のことです。ずっと手探りの状況でした。
 その時代に、「怒った」ことは致し方ないことです。
 私などは、実の父を「叱った」のはまだ昨年のことです。


今日の再放送
投稿者:まるタン 投稿日時:11/09/13 20:00
 足立昭一さんは何度か観ております。
 今日は今まで観たよりも表情が豊かでした。周辺環境がとても良いのでしょう。関わりの工夫と努力のたまものですね。

 明日は義母が入院している病院に嫁二人で行きます。
 どのように話すか、義母の話をどのように聴くか、複数の目で体感してきます。


Re:今日の再放送
投稿者:笠間 睦 投稿日時:11/09/13 20:53
まるタンさんへ

> 今日は今まで観たよりも表情が豊かでした。

 そうですね。
 野菜を売るときの足立昭一さん、本当に活き活きしていましたね。

> 明日は義母が入院している病院に嫁二人で行きます。

 明日の原稿に登場すると思いますが、「今やってみたいこと」を率直にお義母さんに聞いてみることは良いかもしれませんよ。
 本人の気持ちを引き出すには良い質問だと感じています。詳細は、木曜の再放送をお楽しみに。
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