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胃ろう再考─過剰な拒否反応に困惑も [胃ろう]

胃ろう再考-過剰な拒否反応に困惑も.jpg 胃ろう問題の真髄に、読売新聞・医療ルネサンス(2014年1月15日付医療ルネサンス=第5735号)が切り込みました。


記事本文

 「胃ろうが適するのに本人や家族が拒み、鼻から管を入れたり、点滴をしたりして、長期に栄養補給するケースが増えた。本末転倒ですよ」
 三重県津市にある榊原白鳳病院の医師、笠間睦さん(55)は、そう訴える。
 70歳代の女性は、膠原病で食道が硬くなり、のみこめなくなった。胸の中心静脈(鎖骨の下)に点滴をつけたまま転院してきた。
 笠間さんは胃ろうを勧めた。中心静脈栄養を続けるとチューブから感染しやすい。免疫細胞の多い腸の働きも悪くなるからだ。腸から栄養を吸収する胃ろうなら、感染は起きにくい。
 だが、女性は「胃に穴を開けてまで生きたくない」と拒否。感染した細菌が全身の血液に回る敗血症を起こし、昨年7月に死亡した。
 脳梗塞で入院中の前田さん(93)は昨年5月に肺炎を起こし、口から食べられなくなった。家族が胃ろうをためらい、鼻から胃へ管を通したが、不快感が強く、自分で抜かないよう両手にミトンをはめられた。隣の患者が胃ろうをつけながら訓練を受け、食べているのを見て「自分も」と胃ろうを造った。のどを通る管がなくなり、のみこみのリハビリが受けやすくなったことで、おかゆが食べられるようになった
 認知症専門医でもある笠間さんは「本当に死期が迫った終末期や、アルツハイマー病の進行で反応がない場合は慎重に考えるべきだが、胃ろうすべてを否定的に見るのは、患者にとって不利益だ」と指摘する。
 胃ろうの造設は近年、急減している。近畿大教授の汐見幹夫さんは、胃ろう造設(PEG)を行う関西の主な医療機関にアンケートした。回答した43施設の2012年の造設件数は736件で、前年より11%減った。胃ろうが適切と考えられるのに本人や家族の意向で実施しなかった例も、31施設が「ある」と答えた。
 市場調査会社アールアンドディ(名古屋市)の全国集計でも、毎年数%増加してきた胃ろう造設用キットの出荷総数は12年、前年より14%減少した。
 背景として大きいのは日本老年医学会の動き。12年1月に出した終末期医療に関する立場表明の中で「治療の差し控えや撤退も選択肢」とした。「それと前後して胃ろうが延命治療の代表格のように取り上げられ、終末期以外の胃ろうにまでマイナスの印象をもたらした」と笠間さんはみる。
 <過剰な拒否反応>に困惑する声は、各地の医療機関から出ている。
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