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高齢者の3分の1がレビー小体病 [レビー小体型認知症]

高齢者の3分の1がレビー小体病
 レビー小体型認知症やパーキンソン病などのレビー小体病を予測することは可能か。東京都健康長寿医療センター神経病理学研究(高齢者ブレインバンク)部長の齊藤祐子氏らは、高齢者を剖検した結果、約3分の1がパーキンソン病やレビー小体型認知症とその予備軍であったと、Acta Neuropathol(2020年11月5日オンライン版)に発表した。
 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33150517/
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死亡時年齢65歳以上の518例を剖検
 レビー小体病は、神経細胞内にαシヌクレインという異常な蛋白質が沈着し凝集体(レビー小体)を形成することで発症する神経変性疾患である。レビー小体は、脳以外にも出現することが知られている。
 レビー小体病では、手足の震えや体のこわばりといった運動症状に加え、消化器症状を含む自律神経障害や睡眠障害など多彩な非運動症状が出現する。非運動症状は運動症状に先行して起こると報告されているが、発症前の末梢神経系におけるレビー小体の出現や、疾患の進行に伴うレビー小体の変化については明らかにされていない。
 そこで齊藤氏らは、高齢者ブレインバンクに登録された連続開頭剖検例を解析。疾患の発症前から生じている末梢神経系のレビー小体関連病理像や疾患の進行に伴う変化について検討した。剖検に用いたのは、2008~18年に死亡した65歳以上の高齢者518例。死因は、呼吸器疾患、がん、心血管疾患が全体の73%を占め、日本人一般人口の死亡統計とほぼ一致していた。

レビー小体出現群では死亡時年齢が高い
 解析の結果、レビー小体の出現が確認されたのは178例(34.4%)。そのうち中枢神経、末梢神経のいずれにも出現していたのは121例、中枢神経のみは48例、末梢神経のみは9例だった。
 レビー小体出現の陽性群では、陰性群に比べて男女とも死亡時の平均年齢が有意に高かった(男性:81.1±9.5歳 vs. 77.9±11.8歳、P<0.04/女性:86.4±8.5歳 vs. 82.3±11.0歳、P<0.004)。

食道での出現が予測因子に
 次に齊藤氏らは、末梢神経系におけるレビー小体の出現状況と病態の特徴との関連を検討した。αシヌクレインの沈着が確認されたのは、交感神経節が125例、心臓が98例、食道が78例、副腎が60例、皮膚が32例だった。
 解析の結果、レビー小体病の進行と最も強い相関を示したのは食道だった(スピアマンの順位相関係数0.95、P<0.05)。以下、交感神経節(同0.85)、心臓(同0.87)、副腎(同0.81)、皮膚(同0.71)が続いた(全てP<0.05)。また、食道に出現した群では、非出現群に比べ生前に便秘などの自律神経症状を訴えていた例が有意に多かった(P<0.0001)。
 同氏らは「レビー小体関連病理像が高齢者の3分の1に認められた。この事実は、レビー小体病の病態解明および治療薬の開発において、神経病理学的基礎になるだろう」と結論。さらに「食道におけるレビー小体の出現が、レビー小体病の予測因子となることが示唆された」と付言している。
 【Medical Tribune(2020年11月13日) 比企野綾子】

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