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心病む先生 進まぬ対策 [教育]

心病む先生 進まぬ対策
 東京都内の公立小の新任女性教員が2006年、白殺した。心を病んだ末の死だった。これが先月、東京地裁に「公務災害」と認められた。保護者対応や職場の支援不足などが女性を追い詰めたと、判決は断じた。しかし、心を病む教員は減っておらず、専門家は研修などの対策を促す。

新任25歳の自殺「公務が原因」―保護者への対応で悩み
 「泣きそうになる毎日だけど。。。。でも私こんな気分になるために一生懸命教師を目指したんやないんに…おかしいね」。母親にこんなメールを送ってしばらく経ってから、25歳の女性教員は自殺を図った。06年10月のことだ。女性は同年12月に亡くなった。
 その後、うつ病を患っていた女性の自殺を公務災害としない処分を決めた地方公務員災害補償基金(本部・東京)に対し、両親が処分取り消しを求めて提訴。東京地裁は今年2月、「自殺は公務が原因」として処分を取り消す判決を言い渡した。
 判決によると、女性は06年4月、初めて赴任した学校で2年生を担任。5月、ある保護者に電話で「(児童が)万引きをした」との情報提供があったことを伝えると、「事実を示せ」と激しい抗議を受けた。最後は校長が謝罪する事態になった。
 「小テストの採点は子ども同士ではなく、先生がしてほしい」。連絡帳にこう記した保護者への返事が遅れた際は、電話で長時間釈明せざるを得なかった。授業での班分けについて、夜間や休日に携帯電話に繰り返し要望してくる親もいた。
 新人教員向けの研修に参加した際には、講師から「(新人は)いつでもクビにできる」「病休・欠勤は給料泥棒」と聞かされた。保護者とのトラブルについて、校長から全職員の前での説明を求められ、謝罪したこともあった。心労を重ねた女性は7月、うつ病と診断されて病気休職した。だが9月に復帰した後も不調が続いた。
 「毎日夜まで保護者から電話とか入ってきたり連絡帳でほんの些細なことで苦情を受けたり…」。母親へのメールには、仕事の苦悩が記されていた。判決を受け、父親は「教育関係者には、子どもたちを育てる場に、決して過労死問題を持ち込まないでいただきたい」と話した。(岡雄一郎、千葉雄高)

減らぬ休職 年に5千人
 文部科学省の人事行政状況調査によると、心の病で休職する公立校の教員は06年度以降も、年5千人前後で高止まりしている。
 14年度は5045人(前年度比34人減)。所属校での勤務期間別では「1年以上2年未満」が最多の23.2%で、次いで「6カ月以上1年未満」が17.7%、「2年以上3年未満」16.2%など。年代別では、50代以上が最多の1974人で、40代1390人、30代1134人、20代547人などだった。
 背景には何があるのか。
 「子どもの変化に学校の対応が追いついていない」。公立学校共済組合近畿中央病院(兵庫県伊丹市)の臨床心理士、井上麻紀さんは、こう指摘する。
 15年前から同病院で教職員の心のケアや復職支援に取り組んできた。最近は教員の負担が増していると思う。授業についていけなかったり、乱暴になったりする「支援の必要な子ども」が増えたと実感するが、教員数は少子化に合わせて減少していることが影響しているとみる。「教員は責任感が強く、頑張り過ぎる人が多い。人に頼んだり、無理な仕事は断ったりする技術も身につけてほしい」
 保護者対応に関する本「なぜあの保護者は土下座させたいのか」などの著者の関根眞一さんは「学級担任をする前に、研修などで保護者対応について学ぶべきだ。研修も、教育界以外の講師を招いた方がいい」と指摘。「保護者の理不尽な要求が来たら、言い分を慎重に調査したうえで、きっぱり断るなど腹の据わった対応も時には必要だ」と話す。(高浜行人、芳垣文子)
【2016年3月11日付朝日新聞・教育】

私の感想:
 いわゆる「モンスター」への対応ですよね。
 私も駆け出しの頃は、モンスターペイシェントにやり込められました。今は、モンスターペイシェントに“逆ギレ”できるようになりましたが・・。
 経験の浅い職員にとってはものすごく難しい課題だと思います。

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