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COVID-19流行下のACPの留意点は [人生の最終段階における医療・ケア]

COVID-19流行下のACPの留意点は
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 私が2020年12月25日に懸念したこと(=「人生の最終段階における医療・ケア」に対する意向が、COVID-19による肺炎にも流用されかねない)と同じ懸念を医療ジャーナリストの瀬川博子さんが抱き、一昨日(2021.1.8)届きました日経メディカルの最新刊において、日本老年医学会の倫理委員会「エンドオブライフに関する小委員会」委員長を務める葛谷雅文教授にぶつけておりました(2021年1月号日経メディカル p26-28)のでその文面を以下にご紹介したいと思います。

P27より抜粋
Q(瀬川博子さん)
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 今回の提言では、高齢者が「最善の医療およびケア」を人生の最終段階まで受ける権利を保障するために、「ACPを推進すべき」との文言が加わりました。ここで確認させていただきたいのですが、COVID-19は積極的治療の対象で、治る可能性がある急性疾患です。癌や慢性疾患のいわゆる終末期の患者とは、例えば人工呼吸器の使用においても意味が違ってくるように思いますが、ACPの実践ではそうした点での配慮は必要になりませんか

A(葛谷雅文教授)
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 例えば明らかに予後が明確である場合と、救命処置をすることによって回復する可能性がある場合では、人工呼吸器使用の選択にも違いがあるのではないかということですね。もちろんそうだと思います。ですから提言にも「ガイドラインに準じた適切な人工呼吸器装着・離脱のアプローチが必要である」と書いてあります。ただ、ACPに関して言えば、人工呼吸器を使用すれば将来助かる可能性があるとしても、患者さん自身がその医療行為自体を望んでいるかどうかは別問題です。例えば透析に関しても言えることですが、高齢者の中には「透析までして長生きしたくない」と思われる方もいるわけですね。そういう意味で、本人の意思確認が一番大切ということだと思います。
 ただ、本人の意思決定には十分な知識も必要です。COVID-19を発症し急速に重症化した際に、時間的余裕のない中、本人に負担をもたらす恐れのある集中治療など様々な医療・ケアについて説明し、本人や家族に選択してもらうことは救急の現場ではできない可能性があります。そうした事態を見越して、COVID-19に罹患する前から、高齢者は自分のやりたいこと、やってほしいことについて、ある程度家族や医療・ケアの従事者などと話し合ってほしいということです。

この記事を読んでの私の感想
 ACP(ACP:厚生労働省は、終末期の患者が家族や医師と話し合って治療方針を決める「アドバンス・ケア・プランニング ACP」の国内普及を図っており、2018年11月30日に「人生会議」との愛称を発表した。)を普及させたいという思いが根底にあって、厚生労働省&日本老年医学会としては、あまりややこしい質問をするとACPそのものが普及しなくなってしまうのではないかという懸念を抱いてしまうのかも知れませんが、ここはやはり私が2020年12月25日に指摘したように(https://akasama.blog.ss-blog.jp/2020-12-25)、「あなたは、『人生の最終段階』に対する医療において人工呼吸器を望まないと意向を述べられましたが、その意向は3%は助かるCOVID-19による肺炎に関しても同じ意向ですか?」と確認することは不可欠だと思います

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