SSブログ

抗認知症薬の意義 [アルツハイマー病]

抗認知症薬の意義

はじめに
 抗認知症薬が4種類に増えてから2年が経過した。まだ1種類しか抗認知症薬がなかった2009年、社団法人認知症の人と家族の会が厚生労働大臣に「医療上の必要性が高い未承認の医薬品の開発について」という表題で、当時未承認であった抗認知症薬3剤の承認を願う要望書を出した1)。1日も早く治療を受けたいという認知症患者と家族の強い想いが要望書につづられている。要望書どおりに現行の4種類の抗認知症薬が。承認されて以降、認知症患者と家族にどう治療薬を処方すべきか悩んでいる臨床家も多いのではないか? そこで本稿では、アルツハイマー病(Alzheimer's disease;AD)治療薬の日本承認時の審査報告書内容のうち国内第Ⅲ相試験結果を要約し、申請者(各製薬会社)と医薬品医療機器総合機構(機構)の考え方を紹介する。
(中略)

考察
 抗認知症薬第Ⅲ相試験の結果を表3に示す。多くの治験で認知機能では有意改善がみられたものの全般臨床症状ではそうならず、有効性は一部薬剤を除いて未検証である。それなのに、機構がすべての治療薬を承認した論理をまとめると「海外においては標準治療薬であるから」と「本邦の臨床現場においてAD治療薬の選択肢が限られているから」という、非科学的な理由である。眼前のAD患者に抗認知症薬を使うべきか迷った際は、まずこの承認経緯を思い出すべきである。
 ADASの臨床上有意な差は4.0点なのに、いずれの治験においても偽薬群と本薬群でそれを超える差は出ておらず統計的有意差がみられるのみである。全般臨床症状で有意差が出ない理由を申請者は「介護サービスの影響」と主張するが、その主張を裏返せば介護サービスの利用で評価できなくなる程度の微々たる効能しか期待できないことを申請者が自認しているということである。
(以下省略)
【小田陽彦:抗認知症薬の意義. 精神科 Vol.23 234-238 2013】
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。