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認知症社会─医療の現場・反響編【2016年2月19日付朝日新聞・社会】 [認知症]

認知症社会
 http://www.asahi.com/apital/special/ninchishou/

 長期企画「認知症社会」の「医療の現場」シリーズに、多くのご意見や体験談が寄せられました。その中には、認知症の人が体の病気で一般の病院にかかったときに、適切な対応を受けられない実態を訴えるメールがありました。

認知症社会─医療の現場・反響編【2016年2月19日付朝日新聞・社会】
◇笑顔で診てくれれば
 大阪府に住む生活雑貨店員の女性(49)は、有料老人ホームで暮らす父(81)が、昨年2月に大学病院でアルツハイマー型認知症と診断された。同じころから前立腺肥大症で尿が出なくなり、4月に同じ病院で手術を受けた。
 入院時、父は点滴の管などを抜く恐れがあるため、24時間の付き添いを求められた。その5日前に母が亡くなり、それまでの1カ月半、女性は母の付き添いで病院に泊まり込んで疲れ果てていた。「夜は帰らせてほしい」と話すと、治療上必要なときは身体拘束をすると同意書を渡された。仕方ないと受け止め、サインした。
 ある日面会に行くと、父の両手首にはベルトでベッドに拘束された赤黒い痕があった。目つきが変わっており、抵抗したのだろうと思った。「申し訳ないことをした」と感じた。
 退院後、ホームの紹介で耳鼻科の病院へ連れて行った。診察室に入ると父は「嫌だ」と叫び、医師は「無理、無理」と言って診療を拒んだ。昔なじみの耳鼻科医院では、医師は「しんどかったね」と父に語りかけ、車いすに座った状態で治療してくれた。
 「父は笑顔で接してもらえれば、問題なく診療を受けていることが多い。認知症の人が増えるからこそ、きちんと対応できる医師や看護師が増えてほしい」

◇家族の3割「医療側の対応に問題」
 「認知症の人と家族の会」の会員500人を対象に2013年度に実施した調査(回答率94%)によると、過去5年間に認知症の人が急な体の病気で医療機関を受診した家族305人のうち、3割強の102人が医療機関の対応に「問題があった」と答えた。
 内容(複数回答)は「待ち時間が長い」(41人)、「医療スタッフから納得のできないような対応をされた」(34人)が多く、認知症を理由に「入院を断られた」(14人)、「診察を拒否された」(7人)もあった。入院では「付き添いを求められた」「身体拘束された」が目立った。
 また、一般の6病院を対象にした調査では、一般病床に入院する65歳以上の2~5割は、未診断の人も含めて認知症が疑われると推計されている。
 二つの調査にかかわった東京都健康長寿医療センターの粟田主一(しゅいち)研究部長(老年精神医学)は「認知症の人に対する医療は、病気だけでなく、生活を含めて診ることが必要。本来、それがすべての高齢者の医療でできるようになるべきだ。医療者への教育・研修が欠かせない」と指摘する。
 厚生労働省は、一般病院の医師・看護師向けに13年度から「認知症対応力向上研修」を始め、17年度末までに8万7千人の受講を目指す。今年度末までに約4万人が受講する見込み。また、体の病気にも対応できる「認知症疾患医療センター」を17年度までに全国に約500カ所設置する計画で、今年度末には337カ所になるという。
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