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診療現場において大切なことは、医師が話しやすい雰囲気を醸し出すこと [医療情報公開]

朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」第361回『「正確な医療情報を知りたい」に共鳴して―元日に寄せて』(2014年1月1日公開)
 

 皆様、新年明けましておめでとうございます。
 本日は、私がずっと実践してきました医療情報の普及に対する取り組みについてご紹介したいと思います。

 2013年1月29日に東京都内で「認知症国家戦略に関する国際政策シンポジウム」(主催:東京都医学総合研究所)が開催されました。
 シンポジウムにおいては、認知症の人が、その人らしく生きていけるよう地域で支えていくためには何が必要なのか、6カ国(イギリス、フランス、オーストラリア、デンマーク、オランダ、日本)の政策担当者や非営利団体の幹部、経済学者らが参加して活発な議論が交わされました。
 そのシンポジウムにおいては、「本人だけでなく、介護者のケアも必要だ」との意見も相次ぎ、オーストラリアの保健高齢化省の担当者は、「認知症の人が自宅で生活を続けるには、本人だけでなく介護者である家族に対し、カウンセリングや休養などのケアが欠かせない」と話しました。

 フランスにおける「患者と介護者のQOLを高めるための施策」についてご紹介しましょう(濵田拓男:リポート─海外でも広がる地域で支える認知症施策. COMMUNITY CARE Vol.15 56-59 2013)。
1. 「デイケア」「一時入所施設」を設置し介護者にレスパイトケアを提供する
2. 「研修」で介護者にスキルや情報の提供を行う
3. 総合病院内のリハビリ部門に設置された「認知行動ユニット」が危機的な状況にある人に介入し自宅へ帰る支援を行う
4. 介護施設内に、行動障害のある人のための専用ユニット「UHR」を設置し、BPSD(認知症の行動・心理症状)に対応する
5. 医師・看護師・ケアワーカーが認知症に対処するために、ケア専門職向けのスキル・研修を開発しトレーニングを受ける
6. 「電話相談窓口」を設置する

 私自身もカウンセリングとまではいきませんが、私が認知症診療に携わるようになってからずっと続けてきた一つの取り組みがあります。それは毎月1回、患者さんおよび介護者の方に、「もの忘れニュース」という一枚の文書を渡していることです。第1回のもの忘れニュースは、1998年の1月に配布したものであり、それから16年に渡ってこの取り組みを継続しており、2014年1月号にて通巻193号となっております。継続は力なり!と信じて、粘り強く続けております。
 アピタルの「ひょっとして認知症?」も Part1の最終回が第530回『100歳の美しい脳(その11)─たくさん本を読んで、手紙も書いて』でしたので、Part2が第470回を迎えますと延べ1000回となります。今年の4月下旬辺りでしょうかね。

 認知症に関する知識が何もない暗闇の中では、「情報」という一筋の光はひときわ大きな力を発揮します。私自身、患者さん・ご家族の「正確な医療情報を知りたい」という気持ちはごくごく普通に共感できますので、医療情報公開というライフワークに精力的に取り組んできました。
 医療情報普及のためには、インターネットは極めて大きな力を発揮します。私が自身のHPを開設したのは1996年6月23日のことです。1996年8月23日付朝日新聞・家庭面においては、「インターネットで気軽に痴ほう症診断」というタイトルで私のHPが写真入りで紹介されております。私の取り組みが全国紙朝刊で紹介されましたのはこの時が初めてです。
 インターネットを活用して医療について分かりやすく情報提供していくことは非常に大切なことだと私は考えております。そして、診療現場において大切なことは、医師が話しやすい雰囲気を醸し出すことです。
 私が皆さんにお勧めすることは、診察室で「メモを取る」ことです。メモを自宅で読み返して疑問点が出てきたら、インターネットを活用して調べます。そして次回診察の折に医師に質問して、自分自身の理解が間違っていないかどうかを確認し、病気に関する理解を深めていくのです。

 2010年9月28日より「ひょっとして認知症?」の連載を続けてきましたが今秋辺りでひとまず卒業かなとは思っております。卒業の日まで、皆さん今しばらくおつき合いのほどよろしくお願いいたします。
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