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落とし穴課題(Pitfall task) [アルツハイマー病]

3-3 落とし穴課題(Pitfall task)

 1枚の画像を見せて、その画像の示す意味(状況)がわかるかどうかをチェックする課題です。
 https://www.facebook.com/photo.php?fbid=617800405056309&set=a.530169687152715.1073741826.100004790640447&type=3&theater

 図1-3に示すイラストを見せ、「何が起こっている?」と質問して、その全体像を捉えられるか(正解は「落とし穴」)、また「(人物を指しながら)真ん中の人は何をしている?」と質問して、登場人物の行動意図を読み取れるか(正解は「落とし穴に落ちるところを想像しながら隠れて見張っている」)という点から、認知症らしさを見抜く簡便な検査です。最初の質問で「落とし穴」と気づけたのは、健常者の65%、MCIの33%、軽度アルツハイマー型認知症の25%、中等度アルツハイマー型認知症の0%でした(文献)。中央の人物については「かくれんぼ」などと答え、右上部の人物については「バンザイ」などと答えるのが、アルツハイマー型認知症の特徴でした。
 【山口晴保:紙とペンでできる認知症診療術―笑顔の生活を支えよう 協同医書出版社, 東京, 2016 pp21-22】

私の感想
 行動意図は、共感できるかどうかをチェックするテストでしょうね。
 「こころの理論」を簡単にチェックしているようですね。

文献
 Yamaguchi T,Maki Y,Yamaguchi H:Pitfall Intention Explanation Task with Clue Questions(Pitfall task):assessment of comprehending other people's behavioral intentions in Alzheimer's disease.Int Psychogeriatr Vol24(12):1919-1926 2012

P.S.
社会的認知能力―人や社会との適切なかかわり
 社会において適切な行動をとり、ほかの人がどのように感じているかを読み取る能力を社会的認知能力social cognitionと呼ぶ。人の表情をみてその感情を読み取る(感情の認識recognition of emotions)、人のこころの動きの一般的なルール(こころの理論theory of mind)を理解する能力である。障害されると、社会から受け入れられる範囲を超えた不適切な態度をとることになり、友人や家族の反対を無視する行動や安全を無視した決断など、社会的な基準に適さない行動がみられる。
 認知症(DSM-5)では、社会から受け入れられる範囲を越えた態度をとる。衣服、政治、宗教、性的な会話などで皆に関心がない話題にこだわる、友人や家族の反対を無視する行動、安全を無視した決断(気候や社会的状況に不適切なもの)など、社会的な基準に鈍感な行動がみられる。
 軽度認知障害(DSM-5)では、行動や態度の微妙な変化、しばしばパーソナリティ変化とされるもの、たとえば社会的にしてはいけないことに気づくとか、ひとの表情をみて察するとかということが障害される。また、共感が乏しくなるとか、過度に内向き、外向きとなるとかといったことが、ときどきみられる。あるいは微妙なアパシーや不穏などもみられる。
 社会的認知能力は次のように評価される(DSM-5)。
●情動の認識recognition of emotions:
 強い情動を示している顔の絵をみてそれを理解する。
心の理論theory of mind:ひとのこころや経験の状況を推し量る能力。写真をみせて、このカバンをなくした女の子はどこを探したらよいか、とか、この男の子はどうして悲しんでいるのか? といった質問をする。
【三好功峰:認知症─正しい理解と診断技法 中山書店, 東京, 2014, pp35-36】


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