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認知症社会─「運転やめて」家族に亀裂 鍵隠しても事故 [認知症]

20160221Asahi.jpg認知症社会─思わぬ事態に

やめぬ運転 家族の苦悩
 「あらゆる手を尽くしたがうまくいかず、私の心がおかしくなりそうだった」。千葉県の保育士の女性(48)は、レビー小体型認知症の義父(75)が車の運転をやめてくれず、苦しんだ。
 義父は、女性の家から車で1時間半ほどかかる農村部で一人暮らしだった。最寄りのコンビニまで約2キロ、スーパーまで約4キロ。バスは不便で、買い物や農作業のため、乗用車と軽トラック、トラクターの3台を使っていた。
 症状が出始めたのは2012年の年末、義母が亡くなった後だ。認知症の薬を処方され、医師に「絶対に運転しないと約束して」と言われると、義父は「はい」と答えた。だが実際にはやめなかった。それを医師に伝えて強く説得してもらっても「運転できる」と言い張った。
 そのうちレビー小体型認知症の特徴である幻覚が出た。女性が訪ねると、軽トラの前後がへこんでいた。他人の敷地の木に衝突して折ったこともある。
 「もうやめてください。誰かを巻き添えにしたらどう責任をとるんですか」。夫(49)といさめるたびに義父は激高した。「うるさい。田舎は車がなかったら生活できないんだよっ」
 廃車や売却を役場で相談すると、無断での処分は無理だろうと言われた。自動車工場では「バッテリーかタイヤを外すか、鍵を隠すしかない」と言われた。
 腹をくくり、車の鍵を持ち帰った。これで大丈夫と思った矢先の14年7月の夜、義父が軽トラで田んぼに転落したとの連絡が入った。合鍵で運転し、アクセルとブレーキを踏み間違えたらしかった。けがはなかったが、「次は人身事故だ」とぞっとした。温厚な夫も「いい加減にしろ」と怒鳴りつけた。この事故でやりとりした警察官にも相談したが、解決しなかった。
 倉庫に車を入れてシャッターの鍵をかけ、バッテリーを外した。特別養護老人ホームに短期入所させ、そのまま入居。体が次第に思うように動かなくなり、数カ月たつと運転の話をしなくなった。昨年2月、免許センターに一緒に行き、免許を返納した。
 アルツハイマー型認知症の父(77)の運転が理由で、家族と疎遠になってしまった人もいる。東京都の女性(36)は、茨城県の実家で暮らす父の運転をやめさせることができず、離れたところに駐車場を借りて車を移動した。父の車に何度も同乗し、右折時に反対車線に入りそうになるなどの危うさを体感したうえでの苦渋の決断だった。
 道路交通法の決まりだと条文を見せて父に説明したが反発され、「財産どろぼう」と言われた。免許の話をしようとして殴られたこともあり、実家に戻るのが怖くなった。父の運転の危険性をそれほど認識していない親類にも、女性の行動は理解されなかった。頼みの母も認知症で仲介は期待できない。「普通に仲のいい家族だったのに、運転のことでこんなことになるなんて思いもしなかった」

■警察・専門医と連携 相談を
 認知症が疑われる運転者の交通事故が相次いでいる。警察庁によると、2014年に死亡事故を起こした75歳以上の運転者のうち約4割が、直近の認知機能検査で、記憶力・判断力が「低い」「少し低い」と判定されていた。
 宮崎県えびの市では12年、当時75歳の認知症の男性が運転する車が小学2年の男児3人をはね、1人が意識不明となった。男性だけでなく、妻と別居の子どもに対し、男児の両親が治療費など約3億6千万円の損害賠償を求める裁判を起こしている。
 悩む介護家族のため、国立長寿医療研究センターの研究部長で医師の荒井由美子さんを代表とする研究班は「支援マニュアル」を作り、サイト(http://www.ncgg.go.jp/department/dgp/index-dgp-j.htm別ウインドウで開きます)で紹介している。認知症の種類による運転の特徴や危険性の違いを説明。乗り合いバスなど移動支援サービスの活用や免許の自主返納などの情報も載せた。
 危険性が高いのにどうしても運転をやめない場合、公安委員会が専門医による「臨時適性検査」を受けるよう本人に通知をし、理由なく検査などを拒み続ければ、最終的には免許取り消し処分の対象になる。家族は事前に、警察・医師と十分話し合う必要がある。
 荒井さんは「家族だけで抱え込まず、免許センターなどにある『運転適性相談窓口』で相談してほしい。家族に攻撃的な言動がある場合も、主治医やケアマネジャーらに積極的にSOSを発信してほしい」と話す。(編集委員・清川卓史、森本美紀)

■道交法改正、診断機会増加
 認知症の人の運転が社会問題化しているのを受け、昨年6月、改正道路交通法が成立した。75歳以上の人が3年に一度の免許更新時に受ける認知機能検査で、記憶力・判断力が低いと判定されたすべての人に医師の診断を義務づける。認知症と分かれば、免許は停止か取り消しになる。現行法は、記憶力・判断力が低く、道路の逆走や信号無視といった交通違反をした人に診断の義務づけを限定していた。さらに、新制度では、免許更新時だけでなく、特定の違反をした人にも臨時の認知機能検査を義務づけた。改正法成立から2年以内にスタートする。

カメラで傾向調査
 NPO法人「高齢者安全運転支援研究会」と東京工業大が、認知症ではなく基本的な日常生活は保たれているが、認知機能の低下がある「軽度認知障害」(MCI)の高齢者を対象に運転の調査研究をしている。注意点を知って安全運転を続けてもらう狙い。昨年12月、神奈川県座間市の教習所で、頭に小型カメラを付けて運転傾向を調べた。3月中に報告書にまとめる。

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コメント 1

Nyrpsik

GO!!!
This phrase was said by the first cosmonaut on Earth - Yuri Gagarin. (Yuri Gagarin)
He was the first astronaut on Earth. He was Russian! ...
Now Russia is becoming a strong country, gas pipelines, a vaccine against COVID-19, an army.
Is this very reminiscent of the communist Soviet Union?
How do you think?
Now we have total control in our country. I am interested in the opinion of foreigners.

<a href=http://www.albonumismatico.ru>Албонумисматико</a>

ПОЕХАЛИ!!
by Nyrpsik (2021-05-12 08:56) 

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