医療事故調査をめぐる課題と考え方 [医療事故調査制度]
医療事故調査をめぐる課題と考え方
課題その1─入口:医療事故かどうかは、誰がどのように判断するのか
当該医療従事者が予期していたとのB要件とは、①医療開始前の時点で、②医療途中で死ぬことが予期できたことが、③家族に説明するか、診療録に記載するか、当該医療従事者からの事情聴取で判明したか、のいずれかの客観的な方法で管理者が認識できれば、事故調査を開始すべき「医療事故」に該当しないことになり、調査対象に入らないことになってしまう。要するに、当該医療従事者が当該事故を予期していたことが客観的に認められたならば、「医療事故」ではなくなるのである。
これらについては、医療の提供前に当該患者個々人について医療中に死亡する可能性をいうのであって、「高齢のため死亡する可能性がある」とか「一定の確率で死産は発生する」、あるいは「心不全の副作用が10%未満で生じる」など、個人の病状を踏まえない、一般的な死亡の可能性についての説明や記録を指すものではない。また、事後の事情聴取から死亡を予期していた③の例とは、単身で救急搬送され、説明や記録の猶予がなく、かつ比較的短時間で死亡した場合や、過去に同一の患者に対して同じ検査・処置を繰り返したために説明や記録が省略された場合など、①や②の客観的証明が欠如していることに合理的な理由がある場合に例外的に認められると考えるべきものである。
…(中略)…
死亡事故を予期し(説明あるいは診療録に記載し)ていたかどうかを管理者が判断するとは、診療開始時の担当医師その人の主観的認識ではなく、まして管理者院長その個人の見解でもなく、組織として判断するものである。
【編/医療と法ネットワーク 法律家と医師が解明する・動き出す医療事故調査制度. SCICUS, 東京, 2015, pp14-16】
課題その1─入口:医療事故かどうかは、誰がどのように判断するのか
当該医療従事者が予期していたとのB要件とは、①医療開始前の時点で、②医療途中で死ぬことが予期できたことが、③家族に説明するか、診療録に記載するか、当該医療従事者からの事情聴取で判明したか、のいずれかの客観的な方法で管理者が認識できれば、事故調査を開始すべき「医療事故」に該当しないことになり、調査対象に入らないことになってしまう。要するに、当該医療従事者が当該事故を予期していたことが客観的に認められたならば、「医療事故」ではなくなるのである。
これらについては、医療の提供前に当該患者個々人について医療中に死亡する可能性をいうのであって、「高齢のため死亡する可能性がある」とか「一定の確率で死産は発生する」、あるいは「心不全の副作用が10%未満で生じる」など、個人の病状を踏まえない、一般的な死亡の可能性についての説明や記録を指すものではない。また、事後の事情聴取から死亡を予期していた③の例とは、単身で救急搬送され、説明や記録の猶予がなく、かつ比較的短時間で死亡した場合や、過去に同一の患者に対して同じ検査・処置を繰り返したために説明や記録が省略された場合など、①や②の客観的証明が欠如していることに合理的な理由がある場合に例外的に認められると考えるべきものである。
…(中略)…
死亡事故を予期し(説明あるいは診療録に記載し)ていたかどうかを管理者が判断するとは、診療開始時の担当医師その人の主観的認識ではなく、まして管理者院長その個人の見解でもなく、組織として判断するものである。
【編/医療と法ネットワーク 法律家と医師が解明する・動き出す医療事故調査制度. SCICUS, 東京, 2015, pp14-16】
2016-03-19 05:42
nice!(0)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0