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医療事故調査制度と3つのシナリオ [医療事故調査制度]

医療事故調査制度.jpg

3つのシナリオ
 今後を占うのは危険であるが、あえて試みると3つの可能性がある。
 第1の可能性は、院内事故調査がほとんど始まらないケース。何しろ医療事故があったか否かは当の病院の管理者の判断に委ねられており、医療事故の定義に「予期しなかった」をキー・ワードとし、前もって患者や家族にリスクを説明した場合、記録に残していた場合、当該医療従事者が予期していたと認められる場合には、予期しなかった死亡といえないとして医療事故からは外しているのである。第1のシナリオを極端にすると、ほとんど院内事故調査は開始されず、したがって第三者機関への報告もほとんどない状況となる。それが日本の医療機関の安全性を証明するのならよいが、それほど楽観的になれないであろう。たぶんそれはこの新たなシステムの失敗を意味する。実際には、そのような状況に満足できない遺族は、第三者機関に相談もできないというのであるから(法律ではそうなっていないが、その後の省令その他でできなくなった)、結局、昔からの裁判等に訴えるほかなくなる。まさに新たなシステムの失敗が明白になる。
【編/医療と法ネットワーク 著/樋口範雄 法律家と医師が解明する・動き出す医療事故調査制度―医療事故調査制度と3つのシナリオ. SCICUS, 東京, 2015, pp36-39】
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