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大特集・最新医療に乗り遅れるな─認知症予防は筋トレと昼寝 [認知症予防]

 文藝春秋、3年連続で春に大々的な医療特集を組みましたね。
 過去2年間も結構インパクトの強い内容でした。
 今年の紙面から、先ずは「認知症」関連の話題をご紹介しましょう。
文藝春秋3年分.JPG

大特集・最新医療に乗り遅れるな─認知症予防は筋トレと昼寝
 厚生労働省の推計によれば、二〇二五年に認知症患者は七百万人に達し、六十五歳以上の五人に一人は認知症という計算になります。
 そもそも「認知症」は病名ではなく症状を指すもので、原因となる疾患は約七十種類もあります。専門医の私でも、三十三年の間に経験していない認知症はいくつもあります。「認知症=アルツハイマー病」と誤解されるように、認知症全体の三分の二を占めるのがアルツハイマー型認知症です。二番目に多いのは脳卒中が原因の血管性認知症、三番目が特殊なたんぱく質の固まりが神経細胞にできるレビー小体型認知症です。これらの「三大認知症」で全体の約八五%を占めます。
 近頃、「治る認知症、治らない認知症」という言い方が聞かれますが、厳密にいえば、現在の医学では根本的には治せないのが認知症です。「治る認知症」とは、一つは“認知症モドキ”だと考えられます。“モドキ”とは、例えば「うつ病仮性認知症」「正常圧水頭症」「ビタミン欠乏性認知症」などです。
 うつ病仮性認知症とは、うつ病が原因で注意力、集中力が低下し、物忘れがひどくなった状態です。高齢者に多いのは、配偶者を亡くしたショックでうつ状態になり、周囲が認知症になったと思い込むケースです。これは精神科で適切な治療を受ければ、改善が期待できます。
 正常圧水頭症は、脳内に水が溜まって循環が悪くなる病気で、ほとんどが外科手術で改善します。
 ビタミン欠乏性認知症は、主にガンで胃を切除してビタミンB12や葉酸が吸収できなくなった人に見られます。これもビタミン剤の服用で改善するものです。
 経験的にいえば、認知症を疑って来院される方の一割近くが、これらの“認知症モドキ”に該当します。「治る認知症」の二つ目が、MCI(軽度認知障害)です。
 MCIとは、原因の疾患に関係なく、軽度の認知障害を指す総称で、まだ生活に大きな支障はないが、物忘れが激しく、無気力になる状態です。放置すれば、四年以内に約半数が認知症を発症する予備軍ですが、治療によって平均二〇%余りの方が健常に戻るとされています。
 私のクリニックは認知症の早期発見と早期治療を専門とし、昨年九月の開業以来、認知症ではないかと心配する方が多数来院されています。
 …(中略)…
 以前は、明け方に夢をみる時間帯の「レム睡眠」で記憶が定着すると考えられていましたが、最新の研究では、寝入りから三十分ほどで訪れる深い眠りの「徐波睡眠」で記憶が定着するとわかってきました。例えば午前中の勉強は、三十分の昼寝で定着するというわけです。
 私の研究では、アルツハイマー病になりやすい遺伝子を持つ人でも、三十分の昼寝を実践すれば認知症のリスクは減るという結果が出ました。ただ、昼寝が一時間以上だと、逆に認知症のリスクは高まるという結果も出ているので注意が必要です。
 この徐波睡眠には個人差があり、運動習慣がある人ほど昼寝の効果は高いという最近の研究結果があります。三十分の昼寝と運動習慣はセットで実践したいところです。
 さらにもう一つ、認知症やMCIに改善効果を生む要因があります。人付き合いなどの社会的交流です。
 以下省略
(朝田 隆:認知症予防は筋トレと昼寝. 文藝春秋第九十四巻第七号 293-297 2016)

P.S.
 朝田先生(元筑波大学精神神経科教授)、ご開業されたのですね。私の恩師の一人であります。
 「メモリークリニックお茶の水」だそうです。
 http://memory-cl.jp/
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