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認知症告知・意向調査 Stage2 [認知症の告知]

認知症告知・意向調査 Stage2

 軽度認知障害に関する○○新聞記事が4月下旬に出てから「認知症告知・意向調査 Stage2」を始動するつもりでおりましたが、予定を変更して(繰り上げて)本日来られました患者さんより、「認知症告知・意向調査 Stage2」を開始しました。
 「認知症告知・意向調査 Stage2」では、まず告知に関する本人の意向を確認し、告知を希望された方に対して、予後告知まで希望するのかどうかを尋ね、そして終末期の意向の調査へと進んでいきます。

 本日の受診患者さんは、約1年ぶりに来院された方で、診察の結果では軽度アルツハイマー病の状況でした。しかし、病識(病感)は全くなく、ご本人はご家族に向かって「今日、何で来たの?」と話されておりました。

 改訂長谷川式認知症スクリーニングテスト(HDS-R)は24点であり基準では合格ラインでしたが、リバーミード行動記憶検査(日本版/RBMT)を施行してみますと、標準プロフィール点が4点(昨年は9点)、スクリーニング点が0点(昨年は2点)となっており、基準点以下となっておりこの1年間の「進行性」も確認されましたので軽度アルツハイマー病と診断致しました。

 リバーミード行動記憶検査(日本版/RBMT)に関しては、朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」第14回『認知症の診断─素人判断は難しい』にて解説しておりますのでご参照下さい。
 以下に再掲致します。


朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」第14回『認知症の診断─素人判断は難しい』(2012年12月28日公開)
 素人判断は、難しいわけですね?

 はい! 確かに、素人判断は危険です!!
 ですから、物忘れが気になるおじいちゃん・おばあちゃんに対してテストを実施してみることは構いませんが、あくまでも一つの目安として捉えて下さいね。

 医療機関においては、認知症が疑わしい状況であるならば、認知機能検査を1回きりで終わらせるのではなく、時間を置いて再検査します。
 それは、アルツハイマー病では、HDS-Rが年間2.5点悪化し、MMSEでは病期全期間で年間に2.2点(ただし、軽度~中等度の時期では、年間3.4点)悪化していくことが知られているからです。進行の有無をきちんと確認することは、アルツハイマー病であるかどうか正しく判定する上で欠かせません。

 得点による重症度分類は行わない(http://ninchisyoucareplus.com/plus/pdf/070421%E5%8A%A0%E8%97%A4%E6%8A%84%E9%8C%B2.pdf)ことになっております。しかしながら、各重症度別のHDS-R平均得点の目安も報告されています。
 非認知症: 24.27±3.91
 軽度  : 19.10±5.04
 中等度 : 15.43±3.68
 やや高度: 10.73±5.40
 非常に高度: 4.04±2.62

 大まかな目安として、中等度の認知機能低下(HDS-R≧16点)、やや高度の認知機能低下(15≧HDS-R>10点)、高度の認知機能低下(10点≧HDS-R)と覚えておいて下さい。
 なお、認知機能検査が何点以下なら「意思能力の欠如」という明確な規定を定めることは困難です。それは、検査の点数には教育歴などが影響しますし、問題となる法律行為(意思表示)の内容によって、必要とされる意思能力は異なるという背景があるからです。

 MMSEは30点満点の認知機能検査で、目安として、9点以下は高度アルツハイマー病、10~19点が中等度アルツハイマー病、20~23点が軽度(初期)アルツハイマー病、24点以上は軽度認知障害(MCI)ないし正常と判定されます。
 すなわち、30点満点を獲得してもMCIと評価される場合もあり得るということになります。

 リバーミード行動記憶検査(日本版/RBMT)は、国際的にも評価の高い記憶障害の判定・診断のための検査です。
 特徴は、単語を覚えるなどの机上のテストではなく、日常生活をシミュレーションして、記憶を使っている場面場面を想定して検査することです。
 RBMTには、標準プロフィール点とスクリーニング点という2つの指標があり、検査の所要時間は約30分です。
 標準プロフィール点(24点満点、22点以上は正常)は、日常生活上の行動の把握や治療効果などを評価できます。数点しか獲得できない場合には新しい情報の学習はかなり困難であり、病棟内では迷子となる危険性があります。訓練スケジュールを記憶しているレベルは、10点以上とされています。
 スクリーニング点(12点満点)は、全般的な記憶機能の指標となります。
 アルツハイマー病の前段階とされる軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment;MCI)では、標準プロフィール点が15点以下、スクリーニング点が5点以下となることが多いです。
 アルツハイマー病では、標準プロフィール点が5点以下、スクリーニング点が1点以下まで低下してきます。

 私の検討した結果では、HDS-Rが26点辺りまで低下してきますと、RBMTが基準点以下に低下していることが多く、「初期アルツハイマー病」と診断される可能性が出てきます。
 認知症が専門ではない医師の場合には、HDS-Rが26点も獲得できればそれだけで「異常なし」と判断してしまい、精密検査を実施しないことも多いですので診断医の力量には留意する必要があります。
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