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薬のはなし―かぜ薬について [医療]

薬のはなし―かぜ薬について
はじめに
 インフルエンザは別であるが,一般のかぜ症候群を引き起こすウイルスに有効な医薬品はない。したがって,かぜに対する薬はほとんど対症療法であるが,「早く治すために,悪くならないように,念のために」とかなり期待して来院する患者も多い。かぜの症状に合わせた処方と患者の理解度に合わせた説明が必要であるが,すべての症状を薬で抑えることが必ずしもよくない場合もある。また,十分な睡眠と栄養,安静,保温などの基本的対応を再確認してもらうことも重要である。

総合感冒薬
 かぜに対する対症療法として,解熱鎮痛薬,抗ヒスタミン薬,鎮咳薬,去痰薬などが使用されるが,総合感冒薬はこれらの医薬品を配合剤としたものである。しかし,処方される医療用医薬品の総合感冒薬としてはほとんどPL顆粒のみで,これには,解熱鎮痛薬と抗ヒスタミン薬しか含まれていない。したがって,症状により鎮咳薬や去痰薬,トローチやうがい薬などが処方される。また,頓服薬として解熱鎮痛薬が追加されることも多い。薬の数が多くなると,とくに他の疾患でいろいろな薬を服用している人にとっては大きな問題となる。
 一般のかぜに対しては明らかにセルフメディケーションの方向に進んでおり,総合感冒薬のほとんどはパブロン,ルル,ベンザなどの商品名で販売されている一般用医薬品である。これらの医薬品には,子供用や複数の剤型,さらに鼻炎や咳止めに特化したものなど,多くのシリーズ商品がそろえられており,含まれている有効成分も様々である。とくに鼻炎用や咳止めなどにはプソイドエフェドリンやメチルエフェドリンなどの交感神経作用薬が含まれているものも多く,鼻づまりや咳に対して処方薬よりよく効く場合もある。考え方によってはこれら医薬品の中から適当なものを推薦するか,薬剤師と相談し,薬局で購入してもらうのもよい方法かもしれない。

注意したい副作用
●総合感冒薬にイブプロフェンなどのNSAIDが含まれているものがあるが,アスピリン喘息には禁忌なので注意する。
●解熱鎮痛薬にはイソプロピルアンチピリンなどのピリン系薬剤を含むものがあるが,過去にピリン系薬剤でじんま疹を経験したことがある人には禁忌である。アスピリンはその名前からピリン系と誤解されるが非ピリン系である。
●アセトアミノフェンは子供に対する安全性も高い薬として繁用されているが,大量投与や長期連用,アルコールとの相互作用などにより肝障害を起こしやすく,一般薬の中で中毒事例が多い薬の一つである。多くの薬に配合されているので,過剰摂取にならないよう注意が必要である。
●総合感冒薬に含まれる抗ヒスタミン薬はほとんどが第一世代であり,抗コリン作用により,とくに高齢男性では排尿障害を起こしやすい。また,気道分泌を抑えるため痰を排泄しにくくすることもある。中枢作用による眠気も誘発しやすいが,安静にするという意味では利点である。

かぜに対する抗菌薬の使用
 明らかに細菌感染が疑われる場合や呼吸器系の基礎疾患がある場合は抗菌薬も考慮されるが,一般のかぜに対して抗菌薬が不要であることは臨床試験の報告もあり,以前から日本呼吸器学会でも提唱されている。しかし,現在でも二次感染予防や重症化の防止を目的として抗菌薬が処方されることが多い。また,患者の希望もあって処方されるケースも多い。前述のように総合感冒薬のラインアップは市販薬でそろっており,抗菌薬を求めて来院する患者が多いのかもしれない。
 抗菌薬の安易な使用は耐性菌増加に繋がる可能性があるため,症状をよく確認し,より慎重に処方しなければならない。さらに,抗菌薬を処方する場合には,患者が服用意義や服用方法をよく理解し,また,途中で中止しないように説明することも重要である。
(以下省略)
 【大石了三、園田正信:かぜ薬について. 臨牀と研究 Vol.93 155-156 2016】

私の感想
 風邪と抗菌薬に関しては、「“かぜ”をこじらせないために」(http://akasama.blog.so-net.ne.jp/2016-04-12-4)もご参照下さいね。
イソジン.JPG
 上戸彩さんも「イソジン[レジスタードトレードマーク]」のCM(https://www.youtube.com/watch?v=6i7KR1KMbss)で言ってますよ。「のどの痛みの85%はウイルス感染によるものです。」ってね。
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