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認知症になっても“役割”を持ちたい [認知症]

認知症になっても“役割”を持ちたい

 2015年12月14日に報道されましたNHK・総合『わたしが伝えたいこと~認知症の人からのメッセージ~』の第1部におきましては、それぞれの「絶望体験」が語られた一方で、役割を持つことで活き活きと過ごすことができるようになった当事者の方、そしてその方たちを支えるデイサービス「DAYS BLG!」(東京 町田市)の取り組み(活動)も紹介されました。
 非常に重要な視点が語られております。
 7月9日はアスト津におきまして当事者の方をお招きしての「RUN伴」主催の講演会が開催されますが、『わたしが伝えたいこと~認知症の人からのメッセージ~』の第1部のような構成になると良いですね。
 司会進行を務められるのは、樋口直美さんです。樋口さんもそのような構成を考えておられるかも知れませんね。私も万一の時(樋口さんの本を読んで頂けると分かりますように突然の体調不良が起こりうるご病気ですので、そうした万一の事態)に備えて司会者の横に座り必要があればアシストする予定です。基本的にすべて樋口さんが司会進行されますので私はお飾りみたいな感じです。樋口さんの卓越した司会進行技術を盗んでやろうかと狙ってますよ!(笑)

 さて、以前私が執筆担当しておりました朝日新聞社アピタルの医療ブログ「ひょっとして認知症?」におきまして、デイサービス「DAYS BLG!」の活動をご紹介したことがありますので以下に再掲致します。
 
朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」第754回『第754回 認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)―(上)初めての国家戦略』(2015年2月4日公開)
 認知症の人への支援を強化する初の「国家戦略」である認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)が2015年1月27日に公表(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000072246.html)されました。
 その概略は、アピタルにおいても2015年1月27日に伝えられております。内容を詳しく知りたい方は、厚生労働省のウェブサイトの資料1(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12304500-Roukenkyoku-Ninchishougyakutaiboushitaisakusuishinshitsu/01_1.pdf)および資料2(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12304500-Roukenkyoku-Ninchishougyakutaiboushitaisakusuishinshitsu/02_1.pdf)にてお読み頂けます。厚生労働省のウェブサイトの資料1においては、新しい取り組みが「新」と表示されております。政府発表資料は読み解くのが難しいと感じられる方には、その要点を分かりやすく解説しているウェブサイト(http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2015/004069.php)もありますのでご参照下さい。

 2012年9月5日に公表された旧オレンジプラン(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002j8dh-att/2r9852000002j8ey.pdf)においては、シリーズ第203回「認知症と長寿社会(笑顔のままで)―認知症患者が入院を断られる現状」のFacebookコメント(2013年11月21日 17:45)においても記述(後述します)しておりますように多くの課題がありました。
 さて、今回発表されました「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)によって今までの認知症施策の問題点はいったいどの程度解消されるのでしょうか。
 私が現実に困っている3つの問題からこの「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)について考えてみたいと思います。

 1点目は、「認知症の行動・心理症状」(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia;BPSD)に対する対応に関して述べましょう。
 シリーズ第437回「患者の心の中を探る―上手なケアだけでは解決できないことがある」においてご紹介しましたように、「認知症の行動・心理症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia;BPSD)やせん妄を呈する入院患者の場合、幻覚や抑うつ、不安などの心理症状に対しては薬物療法は比較的有効であるが、暴力や暴言、ルート抜去、大声、徘徊などの行動症状に対しての有効性は低い(内海久美子、白坂和彦:総合病院におけるBPSDへの対応と課題. 老年精神医学雑誌 Vol.18 1325-1332 2007)」という現状があり、一般病院での対応には限界があります。特に困窮するのが点滴の自己抜去という問題です。
 点滴の自己抜去が目立つ患者さんの場合には、一般病院では対応が困難なこともあり入院を断られるケースが多いのも現状です。点滴の自己抜去の問題に関しては、シリーズ第310回「死を覚悟・治療や食事を拒む─手を焼く点滴の自己抜去」において対応等についても紹介しております。
 こうしたBPSDへの対応に関しては、前述の資料2の「行動・心理症状(BPSD)や身体合併症等への適切な対応─循環型の仕組みの構築」(9頁)においては以下のように記述されております。
 「介護現場の能力を高め、介護で対応できる範囲を拡げるためには、精神科や老年科等の専門科による、医療の専門性を活かした介護サービス事業者等 への後方支援と司令塔機能が重要であり、その質の向上と効率化を図ってい く。具体的には、精神科病院等が介護事業所等と連携する、あるいは地域の ネットワークに加わり、介護職員や家族、認知症の専門科ではない一般診療 科の医師等からの相談に専門的な助言を行ったり、通院や往診(通院困難な 場合)等により適切な診断・治療を行ったりすることが必要である。」
 BPSDが目立ち一般病院への入院が困難な事例に関して、精神科病院あるいは在宅医療がどう関与していくのか非常に大きな課題が突きつけられているのが現状であり、今後の大きな課題となっております。

Facebookコメント
外来に通院できなくなった患者を自然に在宅に導き、最期を支える
 静岡県浜松市の医療法人社団心は、2つのクリニックを有する。あらゆる世代の患者が訪れる「坂の上ファミリークリニック」と、19床の有床診療所で、高齢の患者が多い「坂の上在宅医療支援医院」だ。ファミリークリニックは、厚生労働省が定める在宅療養支援診療所として、外来のほか訪問診療も行っている。
 日々の診療は朝8時から始まる。8時半のカンファレンスで、外来の予定や、訪問診療をする患者について話し合う。理事長の小野宏志氏をはじめ、勤務医、外来の看護師、訪問着講師、ケアマネジャー、訪問入浴、ヘルパー、医療事務も顔をそろえ、情報を共有する場だ。その後、おのおのが外来か訪問診療に出掛ける。担当割は、曜日や時間帯により異なる。常勤医5人、非常勤医9人で診療している。
 取材時、小野氏はまず車で5分の有床診に向かった。入院患者を回診するためだ。
 「どうですか。夜は眠れましたか」
 病室を回り、穏やかに声をかけて診察する風景は、通常の病院とさほど変わらない。国内の有床診は、一時期、件数が減少していたが、いわゆる2025年問題を前に、その役割が見直されている。
 「在宅の患者の症状が悪化した時、認知症があると大病院には入院できないことがあります。有床診はそうした際の受け皿です。簡単な急性期疾患のほか、がんの緩和ケア、レスパイトの入院も受け入れています」
【RECRUIT DOCTOR'S CAREER 2015年2月号(第35巻第2号)通巻408号 8-11 2015】

Facebookコメント
 今回のシリーズは、アピタル編集長より「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」が公表されましたので、何か笠間さんが感じるところを書かれませんかとの提案を受けてお届けする臨時原稿です。
 時を同じくして、NHK・EテレのハートネットTVにおいても認知症の話題が取り上げられており、2月3日の放送(http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/calendar/2015-02/03.html)では、日本認知症ワーキンググループ(https://www.facebook.com/ninchisyotoujisyanokai)という団体が設立されたことと、2014年7月に開催されました“認知症当事者研究・勉強会”での様子などが伝えられました。放送では、「(認知症当事者研究・勉強会において)認知症の人たちが口々に語ったのは、空白の期間の経験でした。初期の段階で診断されても、支援する体制がなく“早期診断・早期絶望”というべき厳しい現実があるというのです。」というナレーションが流れました。
 「早期絶望」とならないためには、若年性認知症の就労支援という課題の克服が極めて重要なんだろうと思います。しかし、現実に稼働している自治体はまだまだ少ないのが現状ですね。
 そんな中、今朝(2015.2.4)の中日新聞紙面におきましては、東京都町田市のデイサービス施設「DAYS BLG!(デイズ ビーエルジー)」が通所者が取り組むプログラムに有償ボランティア活動を積極的に取り入れている様子が伝えられましたね。記事内容の一部を以下にご紹介しましょう。非常に良い記事内容ですので、是非とも全文読まれることをお勧め致します。
 「(冒頭省略) 開設は2012年。理事長の前田隆行さん(38)が以前働いていた施設で、認知症の人たちから『働きたい』『社会の役に立ちたい』という希望を耳にしたことがきっかけだった。(中略) 介護保険サービスの中で、謝礼を伴う有償ボランティアが認められていなかったため、前田さんは厚労省に要望。最低賃金を下回るという条件で有償のボランティアが認められた。(中略) 自動車販売会社の洗車や、青果問屋からはタマネギの皮むきのほか、学童保育での子どもの遊び相手などの有償ボランティア活動を含め、午前と午後にそれぞれ三、四カ所の活動先を確保している。この中から、一日の通所者約十人が自分でやりたいことを選ぶ。ボランティア中の事故などを防ぐため、派遣先には必ず職員も同行する。(以下省略) 【佐橋 大】」
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