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京都式認知症ケアを考えるつどい [認知症ケア]

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朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」第627回『役割と生きがいの賦与―先駆的な京都府の取り組み』(2014年9月30日公開)
 京都府では、「2012京都文書」にも代表されるように、認知症ケアに関して先駆的な取り組みが数多く実践されております。
 洛和会京都新薬開発支援センター所長の中村重信先生(元・広島大学大学院脳神経内科教授)は、京都文書の趣旨について以下のように述べております。
 「85歳の人は一人で平均8個の病気を抱えており、認知症の人はとくに身体合併症が多い。…(中略)… ときには身体疾患を合併した認知症の人が総合病院から入院を断られるという問題も起こっている。そうした現状を踏まえたうえで、認知症を生きる人たちに必要な医療と暮らしの双方を保証するための道筋を探ろうというのが京都文書の趣旨である。」(中村重信:身体合併症のマネージメント. 成人病と生活習慣病 Vol.43 874-878 2013)
 「2012京都文書」は、「認知症を生きる人たちから見た地域包括ケア」の言語化をめざしたものであり、そのエッセンスは「京都式認知症ケアの定義十箇条」としてまとめられております(森 俊夫:認知症の「入口問題」を解決する新たな地域医療・ケアの構築に向けて─「2012京都文書」「京都式認知症ケア」の取り組み. 訪問看護と介護 Vol.18 25-30 2013)。
 さて、『ルポ 認知症ケア最前線』(佐藤幹夫:岩波新書, 東京, 2011, pp32-50)という本においては、「京都式えらべるデイサービス」というユニークな取り組みが紹介されています。
 宮津市のデイサービス「天橋の郷」(http://www.hokuseikai.or.jp/tenkyonosato/)では、小グループ活動を採り入れています。
 「天橋の郷」の北條千恵子施設長は、デイサービスでの活動が家庭でも継続されることの重要性を強調するとともに、ゲームを通した活動経験から、以下の2点を報告しております。
 「ボウリングで個人戦では集中力の持続が難しい方でも、ペアを組んで団体戦形式にすると、直接的にプレーする活動と間接的に応援する活動の両面で楽しむことができた。」
 「男性利用者に受け入れられやすい活動であった。どうしても男性の好む活動は女性より幅が狭い傾向にある。その点、『若い頃よくやった』『身体を動かすと気持ちが良い』という理由で男性にうけが良かったように思われる。」

メモ4:入口問題
 「家族や周囲との関係を含め、すべてを失い、すべてが壊れた後に医療やケアと出会うと、その出会いは、多くの場合、侵襲的なものにならざるをえない。彼らの生活の連続性を断ち、生活を根こそぎにする形ではじまる医療やケアとの出会いは、たがいの不幸である。医療やケアの侵襲性を最小限にするためには、失う前、壊れる前に彼らと出会う必要がある。そこで浮上してくるのが入口問題である。
 出会いのポイントを前に倒すには、医療やケアと出会う部分、つまり医療やケアへのアクセスがスムーズに行われる必要がある。しかし、多くの事例を検討した作業から明らかになったことは、入口部分における『条件のよい人』と『悪い人』との二極分化であり、明らかな不平等であった。つまり入口問題とは単にアクセスポイントの有無だけにとどまらず、社会経済的問題を含んだ『アクセスからの排除』をもたらす要因のことである。しかし、これまではこの問題に明確な焦点があてられることがなかったために、きちんとした分析がなされることなく放置されてきた。ここではじめて方法論が明確になる。認知症の疾病観を変えるためにはまずはこの入口問題を正確に描き出すことであり、つぎにその解決に向けた道筋を明らかにすることである。京大病院老年内科の武地一はこの入口問題を狭義と広義に分け、アクセスからの排除を『狭義の入口問題』、アクセスしたものの医療やケアの対応力が及ばずに結果として排除される場合を『広義の入口問題』として整理した。」(森 俊夫:認知症の地域包括ケア─京都の挑戦. 医学のあゆみ Vol.246 305-309 2013)


朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」第628回『役割と生きがいの賦与―患者の「私」を主語に12指標』(2014年10月1日公開)
 2013年2月17日に開催された「第2回京都式認知症ケアを考えるつどい」においては、『2012京都文書からみたオレンジプラン ~かなえられた私の思い 五年後の十二の成果指標~』という文書が採択されました。
 余談にはなりますが、2013年の「世界アルツハイマーデー」に京都タワーがオレンジ色にライトアップされたニュースは皆さん鮮明に覚えておられるのではないでしょうか。
 「2012京都文書からみたオレンジプラン」は「京都式認知症ケアを考えるつどい」のトップページ(http://kyotobunsyo2012.jimdo.com/)から「第2回京都式認知症ケアを考えるつどい」をクリックし「2012京都文書からみたオレンジプラン」をクリックするとダウンロード先が表示されており閲覧することができます。
 では、認知症施策の成果指標「2012京都文書からみたオレンジプラン ~かなえられた私の思い 五年後の十二の成果指標~」においては、いったいどのような宣言がされているのでしょうか。
1.認知症を持つ私の個性と人権に十分な配慮がなされている
2.私のできることは奪わず、できないことを支えてくれるので、バカにされ傷つき不安になることはない
3.私が言葉で十分説明できないことがあることも理解されている
4.趣味やレクリエーションなど人生を楽しみたい私の思いが大切にされている
5.社会(コミュニティー)の一員として社会参加が可能であり、私の能力の範囲で社会に貢献している
6.若年性認知症の私に合ったサービスがある
7.私の身近なところにどんなことでも相談できる人と、つねに安心して居られる場所がある
8.私はまだ軽いうちに、認知症を理解し、将来について決断することが出来た
9.認知症を持つ私に最初から終いまでの切れ目のない医療と介護が用意されて、体調を壊したときも、その都度すぐに治療を受けることができる
10.私は、特別具合の悪くなった一時(いっとき)を除いて、精神科病院への入院に頼らない穏やかで柔らかな医療と介護を受けて暮らしている
11.心と脳の働きを鈍らせる強い薬を使わないでほしい、認知症を治す薬を開発してほしいという私の願いにそった医療と研究が行われている
12.認知症を持つ私を支えてくれている家族の生活と人生にも十分な配慮がなされている
 「かなえられた私の思い 五年後の十二の成果指標」は、認知症の“私”を主語にして2018年3月の社会を描いたものであり、それを共通の理念(たどりつきたい地平)とするとともに、2015年2月に中間年評価のための「第3回京都式認知症ケアを考えるつどい」を開催し、最終年の2018年2月には認知症本人がその成果を評価する「第4回京都式認知症ケアを考えるつどい」が開催されることが決定している(森 俊夫:認知症の地域包括ケア─京都の挑戦. 医学のあゆみ Vol.246 305-309 2013)そうです。
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