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ケンブリッジ市の一般開業医に質問紙法で実施した認知症および末期がん患者への告知状況に関する調査 [認知症の告知]

朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」第276回『難しい早期診断と告知─家族には辛い思いをさせたくない』(2013年10月4日公開)
 
 ご本人に対しては辛い告知は控えたいと家族が望む姿勢は、終末期の延命治療において、「自分自身だったら認知症の末期に延命措置は希望しない。しかし、家族には一日でも長く生きていて欲しい」と望む日本人の家族観とどこか共通する部分がありますね。この部分は、日本人の「優しさ」なのだと私は解釈しております。
 辛い告知は控えたいという考えは、かつての早期癌、末期癌告知における告知率の顕著な違いと似かよった問題でもありますね。
 私はかつて、「欧米特にアメリカでは、進行癌であれ、また小児であれ、ほぼ100%の告知率である。しかし日本では、がん告知賛成医師は早期癌で67%(がん告知希望患者86%)、進行がんで16%(同71%)という現状である」という当時の現状を論文において指摘し、カルテ開示にとって支障となる諸問題点について言及したことがあります(笠間 睦:外来カルテ開示に対する反響. 1999年4月17日発行日本医事新報No.3912 時論 73-77 1999)。当時はがんの告知問題が大きな課題でした。しかし、現在は、アルツハイマー病の告知が大きな問題になっています。
 アルツハイマー病の告知に関しては、海外の報告においても賛否両論で意見が分かれている現状が報告されています。
 「ケンブリッジ市の一般開業医に質問紙法で実施した認知症および末期がん患者への告知状況に関する調査では、末期がん患者に対し『必ず』告知しているが27.0%、『しばしば』告知しているが67.6%に対して、認知症患者には『必ず』告知しているが5.0%、『しばしば』告知しているが34.2%であった(Vassilas CA, Donaldson J:Telling the truth;what do general practitioners say to patients with dementia or terminal cancer? British Journal of General practice Vol.48 1081-1082 1998)。このように、認知症患者への告知は、がん患者への告知と比較して開業医が躊跨している現状が分かる。」(今井幸充:認知症の病名告知とインフォームド・コンセント. 日本認知症ケア学会誌 Vol.10 421-428 2012)
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