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大腿部骨折―5日たつと危険 [医療]

大腿部骨折
 手術、24時間体制で
 リハビリ病院と密に連携

大腿部骨折.jpg
 頸部骨折では折れた骨頭を外し、金属などでできた人工骨頭に置き換える手術が多い。臀筋(でんきん)というおしりの筋肉を切開し、そこから人工骨頭を入れてはめ込む。転子部は折れてもくっつきやすいため、通常は手術で太ももの横側を切り、金属製の板や太いネジ、クギなどを使って骨折部を固定する。
 
5日たつと危険
 大腿部は骨折したらできるだけ早く手術すべきだとされる。5日以上たつと手術しても歩きづらくなり、身体機能が衰えて死亡率が高まるという報告がある。同病院(=東戸塚記念病院)は心臓病や腎臓病など合併症がなければその日のうちに手術する。24時間以内の手術の割合は全体の7割という。
 頸部骨折では100歳以上であっても人工骨頭に置き換える。「手術せずにくっつくのを待つ場合に比べ、痛みに数カ月も苦しまなくて済む」(東戸塚記念病院・山崎謙院長)。
 一方、70歳以下ではネジで留める骨接合術や骨盤側にも部材を使う人工関節を選択する。活動的な人が人工骨頭にすると、ゆるみが出て再手術になる可能性があるためという。
 339例と九州地区で最も手術が多かった済生会熊本病院(熊本市)は、頸部骨折の手術で臀部ではなく、正面から人工骨頭を入れる術式を採用する。股関節の構造上、前からはめ込むのは難易度が高いが、安楽喜久・整形外科部長は「筋肉を切らずに済み、傷も小さくなる。寝たままでも消毒しやすい」と話す。

高齢化で患者が増加
 「片足立ちで予防を」
 厚生労働省などの統計によると、大腿部骨折の患者は2010年で約18万人。患者の大半は65歳以上で、高齢化に伴って30年には30万人に達すると推計されている。
 日本整形外科学会などがまとめた診療ガイドラインの策定委員長を務めた総合南東北病院(福島県郡山市)の松下隆外傷センター長は「骨粗しょう症でなければ、転んだ程度で大腿部は折れない。50歳を超えたら骨密度がどれぐらいかを測定し、自分の骨の状態を把握すべきだ」と強調する。
 早めに骨粗しょう症治療を始められれば、あごの骨の壊死(えし)などの副作用を伴うことがある強い薬を使うのを遅らせることができるという。松下センター長はスクワットと片足立ちを毎日行うことも推奨する。筋力を高めてバランスを調整する力も改善し、転倒などを防ぐためだ。「片足で3分以上立っていられれば問題はないとされる。自分のバランスカの測定と訓練を兼ね、取り組んでほしい」と話している。
 【2016年3月22日付日本経済新聞・特集】
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