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現代語訳『葉隠』(抄)─五〇 [読書]

現代語訳『葉隠』(抄)─五〇

 ある者の昇進の会議で、以前大酒を飲んで暴れたことがあるとの理由により、昇進見送りと衆議が一決しかけたとき、その場の一人が発言した。

 「一度の過ちくらいで見捨てられては、人物も育ちますまい。一度過ちをおかした者は、それを後悔しておりますゆえ、かえって身をつつしみ、御用に立つものと思われます。どうか昇進させてください」
 貴殿、その者の責任をもちますか」 別の一人が言った。
 「しかと、それがし保証します」
 「どのような理由で、保証すると言われるのか?」と、他の人々も聞いてきた。
 「一度、過ちをおかした者ゆえ、保証するのです。一度も間違いのない男は、かえって危なく思います」と答えたので、その男の昇進が決定したという。
 【松永義弘:葉隠. 教育社, 東京, 1992, pp95-96】

P.S.
 もう20年以上前に読んだ本です。とても印象深い本ですので保存してあります。
 
 『葉隠』は、心中に知仁勇を培い、恥をしれ、誇りを持て、「知は人の話を聞くこと。仁は人のために成すこと。勇は歯をくいしばること」という。こうした武士の徳義を説いたのが『葉隠』である。【松永義弘:葉隠. 教育社, 東京, 1992, p3】
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