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認知症と自動車運転 [認知症と自動車運転]

認知症と自動車運転

 「認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアル[コピーライト]」(国立長寿医療研究センター・長寿政策科学研究部)の第二版が2016年4月1日に公開されました。
 http://www.ncgg.go.jp/department/dgp/index-dgp-j.htm

 ここに記載されております事例8(「血管性認知症のKさん」)が「運転をやめないケースにおける解決に向けての具体的な道筋」を示してくれているかな・・と思いますので以下にご紹介しましょう。
 なお前置きとして、「以下の事例は、法律の上では望ましくありませんが、認知症とわかってもすぐに運転を中止出来なかった、実際の例として示しました。」と注意書きされておりますので、それを念頭に置いてお読みくださいね。
運転.JPG
 

P.S.
75歳以上の高齢運転者への臨時認知機能検査などの実施─平成29年(2017年)6月16日までに施行
 http://www.think-sp.com/2015/06/17/dokoho-kaisei-kohu-2015-6-17/
キャプチャ.JPG

 75歳以上の高齢運転者が認知機能が低下したときに起こしやすい違反行為をした場合は、「臨時認知機能検査」を行うことになります。対象となる違反行為については別途政令で定められます。
 そして臨時検査の結果、認知機能が低下している恐れがあると判断された高齢者に対しては、「臨時高齢者講習」が実施されます。
 講習は個別指導等により、認知機能の低下を自覚させ本人の状況に応じた安全な運転行動を指導するものです。
 また、認知症の恐れがあると判断された運転者に対して公安委員会は臨時適性検査(専門医による診断)を行うか、医師の診断書の提出を命じることができるようになります。専門医による診断等で認知症が認められた場合は、免許の取消しか停止が行われます。
 なお、高齢運転者が上記の臨時機能検査や臨時高齢者講習を受けなかった場合も、免許の取消し又は免許の効力停止処分が実施されます。


※私が危惧していること=認知症の専門外来がパンクする!
 以下は私の予想する「認知症外来─未来予想図Ⅱ」です。

 2015年6月に改正道路交通法が成立しており、75歳以上の人が3年に一度の免許更新時に受ける認知機能検査において、記憶力・判断力が低い(1分類:3.7%)と判定されたすべての人に医師の診断が義務づけられ、認知症と分かれば、免許は停止か取り消しになります(=改正法成立から2年以内にスタートする!)。
 現行法では、1分類で特定の違反(道路の逆走信号無視)をした人に診断の義務づけが限定されておりました。

75歳以上の運転免許保有者数(平成25年末)
 https://www.npa.go.jp/toukei/menkyo/pdf/h25_main.pdf
 2,562,486+1,256,003+429,345=4,247,834
 4,247,834÷81,860,012=5.19%
 
 4,247,834×0.037÷3=52,389
 1年間に、約5万人の方が認知症の診断のために受診することになりますね。
 52,389÷1,500(専門医数)=34,9人

『かかりつけ医のための認知症診療テキスト─実践と基礎』・まえがき
 わが国の認知症患者数は、1970年代終わりから1980年代初めにかけての調査に基づき、65歳以上の高齢者の6.7%と推計されてきた。そして、それをもとに推計された2013年時点の認知症患者数は約185万人であった。しかし、2013年6月に厚生労働省から発表された「認知症有病率等調査」の結果は「高齢者の約15%, 推計462万人」というものであり、驚かれた方も多いと思われる。 それに比して、2013年12月時点の日本認知症学会の認知症認定専門医は840名、日本老年精神医学会の高齢者のこころの病と認知症に関する認定専門医は880名であり、合計l,720名に過ぎない。そして、この一部は重複するため、実際には1,500名程度であろう。これは、専門医1人につき3,000人あまりの認知症患者を担当する計算になる。また、これとは別に軽度認知障害(MCI)の人が約400万人いると推計されている。これを含めると、専門医1人につき5,700人あまりを担当しなくてはならない。仮に1人の専門医が月曜日から金曜日まで毎日10人の新患を診たとしても、全員を診るのに2年以上かかる計算になり、現実には不可能な数字である。したがって、今後は「かかりつけ医」、「認知症サポート医」が果たす役割が極めて重要になる。
【田平 武:かかりつけ医のための認知症診療テキスト─実践と基礎 診断と治療社, 東京, 2014】

 75歳以上の記憶力・判断力が低い(1分類:3.7%)方が全員、運転免許更新のために医療機関を受診するとなると、専門医一人あたり、1年間で約34,9人の鑑別診断が必要という計算になります。
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