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「方向音痴」がアルツハイマー病の初期に生じる可能性 [徘徊]

「方向音痴」がアルツハイマー病の初期に生じる可能性
 http://www.carenet.com/news/general/hdn/41908?utm_source=m1&utm_medium=email&utm_campaign=2016050800

 初めて訪れた場所で道を覚えにくくなるのは、アルツハイマー病のごく初期の徴候である可能性があることが、米ワシントン大学(セントルイス)心理・脳科学准教授のDenise Head氏らの研究で示唆された。研究結果は「Journal of Alzheimer's Disease」4月号に掲載された。
 今回の研究の被験者は、アルツハイマー病の初期症状がある16人と、一見正常だが脳脊髄液にアルツハイマー病の徴候が認められる13人。対照群は脳脊髄液マーカーを認めない健常者42人であった。
 研究では、4種類の壁紙パターンと20個の目印のある連結通路を用いたコンピュータのバーチャル迷路を用いて、道筋を覚える能力を調査した。特に、「あらかじめ設定されたルートを学習し、辿ることができるか」「迷路の脳内地図を形成し、利用できるか」という2つの技能の程度を評価した。
 その結果、症状はないが脳脊髄液には徴候のみられる群において、設定されたルートの学習にはほとんど、または全く問題を認めないにもかかわらず、脳内地図の作成には著しい障害がみられることがわかった。ただし、これらの被験者は最終的には問題を克服し、後に実施した試験では対照群に近い成績を示した。
 Head氏は、「今回の結果が今後の研究で実証されれば、明らかな記憶障害が生じるよりもはるか前に、アルツハイマー病を診断できる可能性がある。脳内地図の利用を評価するナビゲーション課題が疾患検出の新しい強力なツールになりうる」と話す。
 ただし、脳脊髄液マーカーが存在したり、初めての場所で道に迷ったりしても、必ずしもアルツハイマー病になるとは限らないという。

原著
 Shared Genetic Risk Factors for Late-Life Depression and Alzheimer's Disease.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27060956

私の感想
 「道順障害」は、アルツハイマー病患者さんにおいて比較的早期から出現することを以前にもご紹介しましたね。
 以下に再掲致します。

朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」第9回『認知症の中核症状に関する理解を深めましょう─視空間機能障害』(2012年12月20日公開)
 3番目は視空間機能障害です。従来の基準で、「失認」・「失行」とされた所見が視空間機能障害としてまとめられました。
 地理的障害(地誌的見当識障害)には街並失認(視覚性失認の一型)と道順障害(視空間失認の一型)があります。街並失認とは、街並(建物・風景)の同定障害であり、周囲の風景が道をたどるうえでの目印にならないために道に迷ってしまいます。
 自宅付近で道に迷うアルツハイマー病患者の病態としては、少なくとも初期には「道順障害」的な要素が大きいようです(高橋伸佳:街を歩く神経心理学 医学書院, 東京, 2009, pp152-153)。
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