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認知障害の進行が止まっているレビー小体型認知症(probable DLB) [レビー小体型認知症]

症例 食事摂取困難と足底の不快感を主訴に来院した 78歳, 男性(probable DLB)

レビー症例.jpg
【画像検査に関するコメント】
 DLBでは脳MRIに特異的な変化がないことが特徴であるが,本例のように全般性脳萎縮・側脳室下角・体部拡大,第三脳室拡大などを示し,一見PSPにおける脳形態的特徴に類似する場合があることに注意を要する.一方,本例のSPECT所見は,前の症例と同様に前頭葉眼窩面・外側面・帯状回と両側側頭葉極における取り込み低下が主体であり,視覚野(後頭葉)や視覚連合野(頭頂後頭葉)の取り込みがないことが特徴である.一般的に,DLBにおける幻視は一次視覚野と視覚連合野(後部側頭葉・頭頂葉・後頭葉外側)における代謝不均衡が原因であるとする考え方がある[Imamuraら 1999].一方,体系的な幻視は扁桃核と海馬傍回のレビー小体密度の高さと,病早期から出現する幻視は海馬傍回と下側頭回のレビー小体密度と有意の関連があることなどから,側頭葉のレビー小体密度が幻視に最も関連するという考え方もある[Hardingら 2002].本例では繰り返し出現する明らかな幻視があるが,頭頂後頭葉には取り込み低下を認めなかったこと,一方で両側側頭葉には取り込み低下を認めたことから,側頭葉病変が幻視に関わっている可能性が考えられる.
【その後の経過】
 初診後約2年にわたり経過観察中であるが,ドネペジル塩酸塩の開始により,幻視は速やかに消失して再発は見ていない.また,認知障害の進行は止まっている.一方,ドネペジル投与とは関連なしに,しだいに右優位に振戦と筋強鋼が出現.診断がpossible DLBからprobable DLBとなった.
 【福井俊哉:症例から学ぶ戦略的認知症診断・改訂2版. 南山堂, 東京, 2011, pp214-216】

私の感想
 レビー小体型認知症は「進行性疾患」とわれわれ専門医は洗脳されてしまっており、進行が確認されないと、ともすれば「誤診」ではないかと指摘する声が上がります。しかし、あの理論派の福井俊哉先生(http://kkh.ne.jp/013_aisatsu.html)が認知障害の進行が止まっている事例を専門書で報告しているとなるとその言葉の持つ意味は重いですよね。
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