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ピンピンコロリ [日々想々]

 「ピンピンコロリ」は関心の高い話題だと思います。いったいどの程度の方がコロッと亡くなることができるのか・・。
 そのことを「ひょっとして認知症-PartⅡ」第806回(=最終回の1つ手前)にて言及しておりますのでご紹介いたします。


朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」第806回 『感情に配慮したケアを─ピンピンコロリ、確率はわずか』(2015年3月28日公開)
 多くの方が願望する「ピンピンコロリ」の希求ですが、シリーズ第223回「親がアルツハイマー病、私の将来はどうかな!─『ありふれた疾患』であり『明日はわが身』」において述べましたように、95~99歳での認知症有病率は77.7%という現状があります。ですから、「ピンピンコロリ」を達成するには、認知症対策がひとつの大きな鍵を握ります。
 厚生労働省のウェブサイトにアップロードされております資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000011wl9.html)の冒頭部分には、仙台往診クリニック(http://www.oushin-sendai.jp/index.html)の川島孝一郎院長の「障害期間・要介護が増加して、そして緩やかに最期を迎える。これが日本人の9割以上に達します。急死率はわずか5%くらいでございますので、ピンピンコロリと亡くなるのではない。」という発言が記述されております。
 私が市民向け講演会の最後にいつも話していることがあります。それは、信濃毎日新聞取材班が77回にわたって連載したルポルタージュをまとめた一冊「認知症と長寿社会─笑顔のままで」のエピローグ(認知症と長寿社会─笑顔のままで 講談社現代新書, 東京, 2010, pp256-259)において提言されております以下の記述です。
 「『老い方』を考えてみたい。敗戦からはい上がり、高度経済成長を実現してきた日本人の多くは、高い生産性を求められてきた。それを支えてきた価値観が『社会の役に立つ』という生き方だった。
 他人を頼らない。死ぬ時は迷惑をかけず、苦しまず─。長寿社会の底流をなす『ピンピンコロリ』の希求も、その延長線上にある。
 だが、老いてもなお自立なのか。急増する認知症が問いかけるのは、長寿社会をつくり上げてきた価値観の転換ではないのか。『誰かの世話になって生きていく』。この当たり前の覚悟を受け入れたとき、長き老いを支え合う仕組みや社会的資源がもっと必要だ、ということにも気づく。」


朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」第223回 『親がアルツハイマー病、私の将来はどうかな!─「ありふれた疾患」であり「明日はわが身」』(2013年8月10日公開)
 鳥取大学医学部脳神経医科学講座脳神経内科学分野の中島健二教授は、「わが国の65歳以上の方の認知症の有病率は、人口の急速な高齢化に伴い年々増加しており、1990年代後半から2000年代にかけ8%を上回る報告がなされ、最近では10%を超える報告もあります。有病率が上昇した背景には、人口の高齢化のほか、認知症に対する一般の注目度が高まり、早期に医療機関を受診する方が増加したことなども一因と考えられます。」と指摘しております(中島健二 他:座談会─高齢者のアルツハイマー型認知症治療における課題と展望. Geriat Med Vol.49 815-824 2011)。
 実は、2009~2010年度に認知症の有病率等に関する調査が小自治体中心に実施されております(朝田 隆:認知症の実態把握に向けた総合的研究. 厚生労働科学研究費補助金[長寿科学総合研究事業]総合研究報告書、2011)。2011年8月に発行されましたメディカル朝日(Medical ASAHI 2011 August 19-20)は、このデータを以下のように紹介しております(一部改変)。
 「筑波大学臨床医学系精神医学の朝田隆教授らは、最近全国7カ所(宮城県栗原市、茨城県利根町、愛知県大府市、島根県海士町、大分県杵築市、佐賀県伊万里市黒川町、新潟県上越市)で、65歳以上住民を対象として晩発性認知症の疫学を調査した。訪問調査員と専門医による診察を基本としてMRIによる撮像を実施する3次調査も行うことで高い精度の診断と評価を目指した。…(中略)…2008年の日本の人口に準拠して推定された65歳以上の住民における認知症有病率は12.4~19.6%(平均で14.4%)であった。…(中略)…認知症有病率は65~69歳以降、5歳刻みにほぼ倍増し、85~89歳では3人に1人の割合になっていくことが分かった。」
 前述のデータにおいては、95~99歳の認知症有病率は77.7%となっております。認知症はまさに「ありふれた疾患」であり「明日はわが身」と捉え、認知症介護者の気持ちに共感しながら対応を模索していくことが喫緊の課題なのです。調査においては、100~104歳の認知症有病率に関しては報告されておりませんでしたので直接朝田隆教授にお伺いしたところ、朝田隆教授の印象としては、「100~104歳の認知症有病率は少ないだろう」とのご意見でした。
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